指揮官のゲキに危機感も…海野隆司が掲げた“真っ向勝負” 今宮塾でこだわりたい“指標”とは

海野隆司【写真:栗木一考】
海野隆司【写真:栗木一考】

小久保監督がかけた厳しい言葉「今のままでは厳しい」

 指揮官からの“ゲキ”に真正面からぶつかっていく――。リーグ連覇と5年ぶりの日本一に輝いた2025年のホークス。「扇の要」として大きく貢献したのが海野隆司捕手だ。プロ7年目を迎える来季、正捕手としての立ち位置を確立するために28歳が口にしたのは明確な目標だった。

“扇の要”として長年ホークスを支えた甲斐拓也捕手が昨オフにFA移籍し、迎えた2025年シーズン。海野の存在は欠かすことのできないものだった。自己最多の105試合(先発は82試合)に出場。シーズン後半には首脳陣の信頼を得て、出場機会を大きく増やした。先発ではリバン・モイネロ投手と有原航平投手の「ダブルエース」を懸命にリードし、守護神の杉山一樹投手とのバッテリーは“名コンビ”と呼べるものだった。

 正捕手に一番近い立場を勝ち取った海野だが、指揮官はあえて厳しい言葉をかけた。「海野! 来年はバッティングも期待します。今のままではちょっと厳しいかもしれません」。日本一を成し遂げた直後のビールかけで小久保裕紀監督は名指しでゲキを送った。報道陣を通したメッセージに海野は何を感じたのか。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

明かした危機感「来年に関してもずっと競争は続く」
海野が目指す“目標”…そのための「打撃改革」とは
2年連続で「今宮自主トレ」…打撃に集中できる“理由”

「危機感はもちろんあります。立ち位置を確立できたとは思っていないし、来年に関してもずっと競争は続くので。チームとしてリーグ優勝、日本一を達成できたことは良かったですけど、個人としては満足できる結果ではなかったです」

来季へ掲げた目標「打率2割5分は最低いきたい」

 海野は指揮官の言葉をしっかりと受け止めつつ、きっぱりと言い切った。今季はリーグ最多の24犠打をマークした一方で、打率.220、0本塁打、21打点。打撃面では物足りない成績に終わったことは強く自覚している。

 来季の目標に「キャリアハイ」を掲げる28歳が言及したのは、長打率だった。「そこに少しこだわってやっていきたいなと。ホームランを増やしたいというわけじゃなくて、とにかく強い打球を打てるように意識してやりたいなと思います」。今季の長打率は.280にとどまったものの、9月は月間打率.302、長打率.396をマーク。「感覚は悪くなかった」と一定の手ごたえをつかんでいる。

 今オフは2年続けて今宮健太内野手の自主トレに参加する。「守備面に関しては少しずつ余裕が出てきたことで周りが見えてきて、状況判断もできるようになってきた」。守りの部分で自信を得たからこそ、打撃力向上に集中できる環境は整っている。

 来季の目標について「打率2割5分は最低いきたいですし、長打率やOPSも上げていければ」と語った28歳。指揮官の注文に見事応えることができれば、絶対的なレギュラーの座もぐっと近づくことは間違いない。自らのバットで“鷹の正捕手”を勝ち取ってみせる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)