自身初のセーブ王もさらなる高みを目指す
1年で球界屈指のクローザーへと駆け上がった27歳が、さらなる高みを目指す。「増やせるものなら増やしたいですね」。そう口にしたのは、今季31セーブを挙げ、自身初のタイトルを獲得した杉山一樹投手だ。
7年目の今季はリーグトップの65試合に登板し、3勝4敗10ホールド31セーブ、防御率1.82と大車輪の働きをみせた。150キロ中盤の直球と3種類のフォークを駆使して打者を圧倒する姿は、まさに守護神と呼ぶにふさわしかった。
2026年シーズンに向け、さらなるレベルアップを図る右腕。投手の理想像として挙げたのは、今季最後までセーブ王のタイトルを争い、同時受賞したライバルの名前だった。「一番最強ですよね」――。剛球を武器にする杉山が明かしたのは、“モデルチェンジ”の必要性だった。
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タイトルを分け合ったライバルを「最強」と語る理由
バットにボールが当たる「リスク」を減らす秘策
守護神・杉山が来季宣言した「驚異の目標」とは
「球種は増やせるものなら増やしたいですね。やっぱり理想は平良(海馬)君みたいなピッチャー。『160キロを投げられるけど、変化球もめっちゃ多いですよ』みたいな。平良君は変化球をたくさん投げられるし、完成度も高いから“変化球ピッチャー”と思われがちですけど、160キロもある。それが一番最強かなと思うんですよね」
今季の全投球の97.5%を占めた2球種「色々と考えている」
杉山が口にしたのは、2学年下の後輩に対する敬意だった。2025年シーズンは西武のクローザーを務めた平良とは、互いに競い合うようにセーブ数を積み上げてきた。「本当に理想的ですよね」。ホークスの守護神が目指すのは「160キロを投げる技巧派投手」だ。
DELTAのデータで今季の杉山のスタッツを見ると、全投球のうち真っすぐが50.2%を占め、フォークは47.2%。残りはカーブの2.5%だった。ほぼ2球種で打者を打ち取ってきたスタイルが強みとも取れるが、右腕は現状に満足はしていない。
「来シーズンに向けて、今も色々と考えているんですけど。やっぱりバットにボールが当たったら、何かが起こるので。そのリスクを減らそうと。フルスイングをさせない、バットを振らせないための配球だったり球種だったり。カーブも使えるなら使ったほうが絶対にいいと思ってますね」
新たな挑戦にはリスクもつきものだが、杉山の視線はブレない。「一番は現状の球種の精度を高めることです。今持っているボールが崩れないように、球種は増やせたらいいなと思いますね」。今季培ってきたスタイルをベースにしつつ、さらなるレベルアップを図るつもりだ。
「今年は去年よりも防御率が悪化したので。来年こそは0点台を目指せるように。それだけです」。右腕がさらなる高みにたどり着けば、ホークスのV3への距離はぐっと近くなることは間違いない。2026年シーズンにどんな投球を見せるのか。今から楽しみだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)