“物怖じしない”探求心
「あまり良い年ではありませんでした」――。育成選手として3年目のシーズンを終えた佐藤航太外野手は、今季が苦しい1年だったことを認めた。2軍戦では39試合に出場し、90打数18安打で打率.200。それでも「打てなかった時に色々と試行錯誤して、変えたりもした。考えることができた年」と前を向く。その視線はすでに、全てを懸ける勝負の4年目へと注がれている。
来季の飛躍へ。そのヒントは意外なところにあった。チームを去る先輩たちとの対話だ。「率直に寂しい」と別れを惜しむ21歳が特に参考したのは、武田翔太投手、又吉克樹投手らのベテラン投手陣から受けた助言だった。
「ピッチャーから見てどんなバッターが嫌なんですか?」。打席の向こう側に立つ投手たちの”本音”に、自らが目指すべき打者像が隠されていると考え、尋ねた。
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続きの内容は
・積極性を逆手に取る「相手バッテリーが最も嫌がる」行動
・数か月で達成した体重4lg増 球団が託した「ある使命」
・「嫌な打者像」は違う? 21歳がベテランに問い続けた”本音”
ベテラン投手たちが明かした「嫌な打者」
「『何を考えているか分からないくらい、初球からガンガン振ってくる打者』が嫌だという人もいれば、『小技があるバッターが苦手』という人もいる。『じっくりボールを見られるのも嫌』という人もいるし、人それぞれで結構違ったのが興味深かったです」
今季、筑後で多くの時間を過ごしたベテラン投手たちから直接聞いた言葉は、新たな発見の連続だった。その答えを、自らの打撃スタイルと照らし合わせる。
「僕は積極的に行くタイプです」
そのスタイルが投手にとって嫌な場合もあれば、そうでない場合もある。だからこそ、「積極的な人が急に初球を見逃したり、2ストライクまで平気で追い込まれたりするのも、相手バッテリーは嫌がるはず」と気付かされた。積極性を軸としながらも、相手の意表を突く駆け引きの重要性を見出した瞬間だった。
肉体改造で挑む勝負の年
勝負の4年目へ、肉体改造にも着手している。みやざきフェニックス・リーグで結果を残したい気持ちを抑え、10月からは球団の方針でフィジカル強化に専念した。
「『来年に向けて体を作ってほしい』と言われました。改めて、こういうことをしなきゃいけないんだと気付けましたし、何よりもその期待に応えたいです」。仲間が技術練習に励む中、黙々とウエートトレーニングで汗を流した。
「体重が4kgぐらい増えました。体脂肪が減って、筋肉量が増えました」。厳しいトレーニングの成果ははっきりと体に表れている。「今まで持てなかった重量を持てるようになると嬉しいです」と笑顔を見せた21歳。心身ともに、来季への準備は着々と進んでいる。
佐藤航の強みは、物怖じしない探究心にある。
「僕は結構、がめつく聞いてしまうタイプなんです。『今、お時間いいですか?』と積極的に話しかけています。自分が思っている嫌な打者像と、ピッチャーが思っているものは違うと思うので」
成長につながるもの全てを吸収しようとするどん欲さ。もがき苦しんだ3年目の経験と、自らの足で掴んだヒントを力に変え、佐藤航太は勝負の4年目に挑む。
(飯田航平 / Kohei Iida)