松本晴が振り返る1年前「僕もうれしかった」
「マエジュン見てるかー?」――。同期が紡ぐ“絆の物語”には続きがあった。事の始まりは1年前。小久保ホークス初のリーグ優勝に湧くナインの輪の中で掲げられたのは、背番号49が入ったユニホームだった。
リーグ連覇を果たした今季、ビールかけの最中に松本晴投手と木村光投手はテレビ越しの“盟友”に向けてエールを贈った。「マエジュン見てるかー?」。左肘の炎症からの復帰を目指し、リハビリに励んでいた同学年左腕、前田純投手への力強いメッセージだった。
一連の流れは、リーグ連覇を成し遂げた喜びによる“ノリ”や、思い付きで生まれたものではなかった。「僕も去年は凄く嬉しかったので……」。そう明かしたのは松本晴だった。1年前に木村光が取った行動に秘められた思い。そして、「2000年世代」が抱く大きな目標とは――。
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続きの内容は
盟友が明かす、1年前の真意とは?
2000年世代が抱く「大きな目標」
木村光が描く“夢”の全貌とは?
「マエジュンもビールかけを見ていて『いいなあ』って絶対に思っただろうし、僕も去年は『うらやましいな』と思ったので。去年は僕が怪我をして、ビールかけに参加できなかった。それでも光が胴上げの時に自分のユニホームを掲げてくれたことが凄く嬉しかったですね」
木村光が抱く“夢”「もっと増えたらいいっすね」
松本晴が振り返ったのは1年前の出来事だった。ホークスが4連敗を喫した中で迎えた9月8日の西武戦(みずほPayPayドーム)。先発した左腕は6回途中1失点の力投を見せ、連敗ストップに大きく貢献。その後チームは連勝を7まで伸ばし、一気に頂点まで走り抜けた。リーグ優勝のきっかけとなった一戦だったが、松本晴はその後に左足を負傷。歓喜の瞬間をグラウンドで迎えることができなかった。
左腕の無念を強く感じていたのが木村光だった。リーグ優勝を決めた直後の胴上げ、マウンド付近にできた輪のそばで松本晴のユニホームを高々と掲げた。
「晴が怪我したのを当日に見ていたので。あいつが頑張っているのも知っていたし、『一緒に想いを背負ってるよ』みたいな感じでやりましたね。その時(去年のリーグ優勝時)に同期が1人もいなかったので。『早く戻ってこいよ』っていう意味も込めて、ユニホームを持って行こうと決めました」
それから1年後、今季のリーグ連覇を決めた際には松本晴と木村光が歓喜を味わった。来年こそ前田純を含めた3人で――。そんな思いを抱いているのか尋ねると、木村光は首を横に振った。「(渡邉)陸も入れて4人。いや、もっと増えたらいいっすね。やっぱり同学年がいるっていうのは嬉しいことなんで」。
見逃しがちなシーンに詰まっていた「2000年世代」の強い絆。ホークスの未来を背負う男たちの戦いはまだまだ続いていく。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)