佐々木麟太郎、1位指名の舞台裏 城島CBOの一問一答「リスクを背負ってでも欲しい」

DeNAとの競合で城島健司CBOが引き当てた
プロ野球のドラフト会議が23日に都内で行われ、ソフトバンクが佐々木麟太郎内野手(スタンフォード大)の交渉権を獲得した。DeNAとのくじ引きとなったが、城島健司CBOが見事に引き当てた。1位指名を終え、取材に応じた城島CBOの一問一答は以下の通り。
――2球団競合の戦い、見事に引き当てました。今の気持ちはいかがでしょうか?
「残り物に福がありましたね。はい」
――DeNAが先に1位指名しました。それを受けての気持ちはいかがだったんでしょうか?
「いい選手なんで、どこかと被るんじゃないかっていうのは想定していましたけども。本当に残りくじなんで。そこに賭けたというか、期待していました」
――このドラフト会議前には麻雀の海底 (ハイテイ)のお話もありました。その辺の力というのは発揮できましたか?
「僕は雀荘の息子でたくさんの牌を触ってきましたので、本当にいい当たり牌が最後に残っていましたね」
――きょうは小久保監督は欠席ということになりましたが、何かお話は?
「監督とはドラフトについては特には話していないですけども。我々は常に日本シリーズを戦うという目標と想定をしていますので。この時期に監督さんがね、ここに来るっていうのは。日本シリーズに集中してもらうためには、僕らがする仕事じゃないかなということで、今回私がきました」
――大注目の佐々木麟太郎選手ですけれども、球団としての評価は?
「彼の場合は少しイレギュラーで、来年の夏までちょっと私たちは見守らなきゃいけない選手ではありますけども。もし彼と縁がなくても、そのリスクを背負ってでも欲しい選手だということですね」
――高校通算140本、そしてアメリカでの活躍も続いていますが、アメリカに行ってからの活躍はどうご覧になっていますか?
「もちろん我々の素晴らしいスカウト陣がしっかりチェックをして、彼がホークスだけじゃなくてね、日本のプロ野球界に必要だと。そのいうメッセージを我々はしたいという評価です」
――これまでホークスは何人ものすごいホームランバッターを生んできました。もしホークスに入団することになれば、どのような選手になってほしい?
「レギュラーもたくさんいるんですけども、やっぱり核となる選手というのは必要ですから。彼がうちと縁があった場合は、今後何年もそのチームの核としてホークスを引っ張っていってくれるという思いです」
――来年7月まではMLBドラフト会議の結果というのも今後に左右してくると思います。それまで佐々木選手にはどういったアプローチ、コミュニケーションをとっていきますか?
「ドラフト1位で私たちが佐々木君を指名した。これがメッセージなんで、十分伝わってくれていると思います。そして我々は福岡、九州でね。王会長が率いる豪快な野球をファンも望んでいますので。ぜひ彼が一番活躍できるのはホークスじゃないかというふうに自負しています」
――では、カメラの向こう側にいる佐々木麟太郎選手に向けてメッセージをお願いします。
「どちらを選ぶかは佐々木君の意思を尊重しますが、ホークスに来てぜひ九州を熱くしていただきたいと思います」
今後については「向こうの大学のこともある」
――会長は満面の笑みを浮かべていた。
「そうですか。なんか抽選になるとはちょっと予想していなかったので。初めてのドラフトだったし、当たりくじを引いたのはわかったんですけど。相手方もいるんで、あんまり大きなリアクションは取りたくないなと思っていました」
――単独でいけるんじゃないかというのが思惑としては。
「思い通りにはいかないですね。でも残りくじに福があって、彼と縁があったということ。本当に正直、彼がうちと縁がないかもしれないし、あるかもしれないんですけども。本当に彼がうちのチームで活躍するイメージを膨らます時に、すごい魅力的な選手で、あの福岡の豪快な野球に、福岡のファンの方に本当にマッチする選手じゃないかなという。うちのユニフォームを着て、みずほPayPayドームでプレーする、そのイメージがすごく湧く選手ですね」
1位指名の方針を固めたのは「企業秘密です」
――1位の方針を決めたのは。
「企業秘密ですけど、きょう、きのうじゃないです」
――本人のNPBに来る、来たいという意思はどの程度、把握しているのでしょう?
「どの程度……。うーん、それもこっちのいろんな言える範囲と言えない範囲とあるんですけども。ドラフト1位を使って彼を評価しているわけですから。本当にメジャー、来年の彼の活躍というのが関わってきますので。まだ始まっていない部分だし、自分たちがそれは管理できないんでわからないですけど。メジャーリーグのドラフトとの兼ね合いになると思います」
――少なからず可能性はゼロじゃないだろうということ?
「もちろんです。もちろんです。ゼロどころか、来てくれると信じています」
――リスクを背負ってでも、あの飛ばす力は逸材。
「そう思います。ホークスは、一芸に秀でた選手の長所を伸ばすというので、ずっとやってきています。彼の打撃というのはその一芸に秀でているところなので、それを十分発揮してくれると思います。我々がそういう指導方針で、彼がうちで一番パフォーマンスが出る、うちのチームが一番活躍できると思って獲得してます」
――通常の新人のように、 1月から2月、そういうステップを踏まなくても構わないという目的も?
「構わないです。はい。彼はまだ20歳ですかね。40歳まで、45歳までやってくれることをね。うちの核としてやってくれるなら、この何か月間は僕らは全然、待ちます」
仮に入団以降に意思が変わったとしたら…
――佐々木選手はもともとメジャー志向ですが、今回ソフトバンクに入団するとして、入団後に『メジャーに行きたい』というケースもあると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか?
「もちろん、そういう活躍をしてくれることが一番の望みです。それが叶えられるかどうかは別としても、成績を残してくれなければ、そういうことも言えないでしょうし。夢とか希望はどの選手も持ってると思います。佐々木君だけじゃなくてね。そういう選手に育ってもらいたいなと思います」
――大谷選手がご指名された時とかも、かなりの説得材料を持って日本ハムが交渉していました。
「さっきも言いましたけど、自分たちがその選手を育成してきた方針だったり、起用プランであったりっていうのに関しては、彼が一番力を発揮できるんじゃないかなと思います。特殊なポジションでもありますしね。でももう彼の打撃は本当に、野球ファン、福岡のファンを熱くさせるものが見せられるんではないかなと思っています」
――過去の話ですけど、佐々木選手がプロ志望届を高3の時に出しませんでした。もし出していたら、指名対象だった可能性も?
「いや、もうタラレバのことはちょっとわからないです。前回のことはちょっとわからない。現段階で彼をその1位の評価したということで」
――柳田悠岐選手のような大きい選手になってほしい?
「本当に軸となる選手。タイプは人それぞれ違いますのでね。ですけど、やっぱり彼が打席に立つとワクワクするような、彼の打席まで見て帰ろうっていうような選手になってくれると思いますし。何よりやっぱりうちには王会長という世界のホームランアーティストがいるわけですよ。彼にはぜひその868本、会長が見てない景色も見てほしいなと思います」
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)