9月30日にはブルペン投球「順調です」
復活を目指す左腕が、画面越しに力強いエールを受け取った。「『マエジュン、見てるかー? ここから頑張るぞ!』って言ってくれて。本当にうれしかったです」。そう明かしたのは、左肘の炎症で2カ月近くリハビリを続けている前田純投手だった。
3年目の今季は開幕ローテーションに名を連ねたものの、10試合の登板で2勝にとどまり、8月上旬からはリハビリ組で調整を続けている。一歩ずつ地道に階段を上り、9月30日にはようやくブルペン投球を行える状態にまで上がってきた。
チームは27日にリーグ連覇を果たした。自宅のテレビで歓喜の瞬間を見届けた左腕。ビールかけに笑みをはじけさせる仲間たち。突然、自分の名前が呼ばれた。「お前のことは忘れてないぞ」――。そんなメッセージに力が湧いてくる思いだった。
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続きの内容は
・前田純が明かす、復帰への「確かな手応え」
・体重増の裏にあった「投球フォーム改善」
・来季への意気込み「最大のモチベーション」
「ビールかけの映像を見ていたら、(松本)晴と(木村)光が『マエジュン、見てるかー? ここから頑張るぞ』って言ってくれて。晴にはその前に『ビールかけ見とくわー』って連絡していたんですけど。まさかって感じでしたね」
プライベート観戦で感じた「返り咲きたい」
ビールかけは27日の午後11時半ごろに始まった。遅い時間ではあったが、翌日が休みだったこともあり、前田純はテレビ越しにチームメートの姿を見つめていたという。「正直うらやましかったですけど、『自分も参加したいな』『一緒に切磋琢磨して頑張りたいな』っていう思いで見てました。目に焼き付けておきたいなと」。様々な思いが交錯する中、2人が送ってくれたエールは何よりもの励みになった。
9月7日にはプライベートで本拠地での楽天戦を観戦した。「バックネット裏から見てました。晴が投げていたので見に行きたいなと思って」。同期入団、同学年の松本晴が上がったマウンドは、少し前まで自分も立っていた場所だった。「自分もここで投げていたんだなと思って、燃えましたね。やっぱり戻りたい、返り咲きたい場所だなっていうのはすごく感じましたね」。盟友の姿に背中を押された思いだった。
2か月近くに及んだリハビリも、“出口”が見えつつある。「今はすごく順調で、明日(30日)から立ち投げも始められるので。まずは焦らず。ぶり返すことが一番怖いので。パワーアップしながらやっていきたいです」。前田純の表情は明るい。
ただ患部の回復を待っていたわけではない。「ウエートトレーニングもしっかり入れて、体重は4キロ増えました。1軍では腕で投げちゃっていた部分があったので。下半身からの連動で投げることを改めて意識しました」。自らの課題とじっくり向き合い、確かな手ごたえをつかんだ様子だった。
「今は(みやざき)フェニックスリーグで投げるのが目標です。来年に向けてアピールしたいですね」。そう意気込んだ左腕は、目に焼き付けた光景を再び口にした。「来年はしっかり貢献して、ビールかけに参加したいですね」。エールを送ってくれた盟友たちと、思う存分喜び合いたい――。それこそが最大のモチベーションだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)