柳町達「僕じゃなくなる」 規定到達より大事な目標…明かした「絶対にダメ」なこと

柳町達【写真:小池義弘】
柳町達【写真:小池義弘】

勝負所で“再上昇”…9月打率.395

 優勝争いが最終盤を迎えても、この男は変わらない。「僕にとっては終盤の1試合も序盤の1試合も一緒です」。9月に入って月間打率.395と、勝負所で調子を上げてきた柳町達外野手は静かに口を開いた。

 11-8と打撃戦を制した17日の西武戦(みずほPayPayドーム)。2回に勝ち越しとなる押し出し四球を選ぶと、2安打もマーク。3試合連続のマルチ安打と打点を記録し、4連勝中のチームを力強くけん引している。

 11日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、プロ6年目にして初の規定打席に到達した。2022年、2023年には360打席以上に立ったものの、あと少しで届かなかった“主力選手としての証”。自身初となる最優秀出塁率のタイトル獲得も現実味を帯びてきた中で、28歳は意外な言葉を口にした。「そうなると、僕が僕じゃなくなるので」――。

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続きの内容は

・柳町が語る「僕が僕じゃなくなる」真意とは?
・柳町達が掲げる、ブレない“絶対目標”の全貌
・苦境を乗り越えた柳町を支えた「意外な信念」

「(規定打席到達は)もちろん目指してはいました。ただ言い方が難しいんですけど、是が非でも達成したいという思いではなかったです。そこがゴールじゃないし、1つの目標なので。日々の積み重ねの結果でしかないと思っています」

「スタメンを外されてもやることに変わりない」

 柳町が“絶対的な目標”に掲げたこと――。それは怪我をせずに1年間を走り切ることだった。交流戦ではMVPを獲得するほどの打棒を見せていたが、リーグ戦が再開すると3割6分を超えていた打率は徐々に低下。スタメンを外されることもあった。それでも「僕がやることに変わりはないので」と気持ちを切らすことなく、現実と向き合い続けた。

「自分の状態が落ちたのも、相手に研究されたのも、どちらもあると思います。一番は打つべきボールじゃないところまで手を出したことかなと思います。焦りもありましたし」。それでも唯一の目標は変わらなかった。

「まずは無事に感想することが大前提で、その中でやるべきことに集中していく。その積み重ねがリーグ優勝だったり、規定打席もそうですけど、そういう結果につながっていくんだと思います。僕にやれることはそこまで多くないですし、それ以上の力を出そうと思ったら絶対にダメだというか、それは僕が僕じゃなくなっちゃうので。自分のできることをやれれば、おのずと結果はついてくると思います」

 快音を連発していたころも、苦しんでいた時期も変わらず、コツコツと積み重ねてきたものが今の柳町を形作っている。ブレない男のバットがチームに歓喜をもたらす瞬間は着々と迫っている。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)