近藤健介が絶賛した山本恵大の「魅力」 初アーチに見た非凡な才能…漂っていた“予感”

15日のロッテ戦でプロ1号を放った山本恵大(左)、祝福する近藤健介【写真:古川剛伊】
15日のロッテ戦でプロ1号を放った山本恵大(左)、祝福する近藤健介【写真:古川剛伊】

プロ通算13試合、37打席目で飛び出した一発

 実力でつかみ取ったクリーンアップで最高の仕事を果たした。プロ通算13試合目、37打席目で飛び出したプロ1号。「入ったかなと思ったんですけど、前の試合でギリギリ入らないこともあったので一生懸命走りました」。初々しく振り返ったのは山本恵大外野手だ。

 5番に座って2試合目でさっそく結果を残した。15日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)、1点を追う3回2死一、二塁の場面。ボスの外角直球を捉えた力強い打球は勢いを失うことなく左翼テラス席に飛び込んだ。逆転3ランはこの試合の決勝弾になった。「しゃかりきだった。本当にいいホームランでしたね」。試合後、小久保裕紀監督は山本の一振りに目を細めた。

 ダイヤモンドを一周したヒーローを笑顔で迎え、ヘルメットをポンとたたいて祝福したのが二塁走者の近藤健介外野手だった。球界屈指の好打者が絶賛したのは、山本の打撃技術の高さ。そして首脳陣が感じていた“ある予感”とは――。様々な言葉から25歳の凄みに迫った。

天才打者の目に移った25歳の「非凡な才能

「入ると思いましたね。打球の音もよかったですし、チームとしても大きなスリーランだったと思います。あの打球がやっぱり魅力じゃないですか。逆方向に飛ばせるっていうのもそうですし、打席での姿を見ていても、すごくいい形で反応できているなと」

 近藤は後輩の一打を笑顔で振り返った。山本がプロ初昇格した4月中旬は腰の手術からの復帰を目指してリハビリに励んでいた時期だったこともあり、ほとんどスイングを見たことはなかったという。深い打撃論を交わしたこともないというが、“天才打者”の目に映ったのは25歳の非凡な才能だった。

「何でもかんでも(振りにいく)というよりは、しっかりと対応しながら打っているというイメージがありますね、真っすぐ一本というよりは、色々なボールに対しての対応ができているなと思います」。1軍の舞台を13試合しか経験していない若武者の能力を感じ取った様子だった。

 13日の楽天戦(楽天モバイルパーク)から2試合続けて5番打者を任されている山本。村上隆行打撃コーチは迷いなく起用していることを明かしたうえで、試合前に“ある予感”があったことを明かした。

「あれは山本スタイル」首脳陣がかける期待

「きょうは打ちそうな感じはありましたね。『外の真っすぐが来れば、もしかしたらいくんちゃうかな』って。配球的に内と外の真っすぐが多かったんですけど、外に来れば逆方向に持っていける可能性はあるなと。反対方向にあれだけデカい打球が打てるので」

 身長183センチ、体重86キロと堂々たる体格ながら、巧みなバットコントロールを持つ山本。村上コーチは独特の表現で期待を口にした。「誰かに似ているとかは言いたくないですね。あれは山本スタイルです。あいつのスタイルを作り上げてほしいです」。オンリーワンの打者になれる――。そうエールを贈った。

 小久保監督が「技術が高くなってきている。広角に打てるので、まずは中距離打者を目指してほしいですね。左(方向)にもあれだけ飛ばせるので」とうなずけば、村上コーチも「現時点で打ってくれるんじゃないかという期待値が高い。それだけです」と言い切った。天才打者も、そして首脳陣も能力の高さを口にする25歳。勢いはしばらく止まりそうにない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)