前田悠伍は6回1安打無失点も…目立った点について言及
ソフトバンクの2軍は17日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)に2-0で勝利した。先発した前田悠伍投手は6回1安打無失点の好投。その後は大野稼頭央投手、津森宥紀投手、宮崎颯投手が登板し、相手打線を無失点に抑えた。打線では初回2死一塁から山本恵大外野手が放った適時打が決勝点となった。試合後の松山秀明2軍監督の一問一答は以下の通り。
――前田悠投手の内容は。
「僕は2回、3回までは今年で一番悪いっていう評価でした。ただ4回くらいからちょっと良くなってきたというだけであって、立ち上がりの3イニングは、彼の中では多分この2年間で一番悪いです」
――6月7日の前回登板も、良くないという評価でしたが。
「いや、前回よりも悪いでしょうね。前回は真っすぐは悪かったけど、変化球がいいところにいっていたので。きょうの場合は変化球も良くなかった」
――初回、先頭打者に変化球のすっぽ抜けもあった。
「そうです。だから変化球も真っすぐも全て抜けている状態。途中から『低めに丁寧に投げていけ』っていうことを、バッテリーに徹底させた。そこから低めにボールが集まり出して、ちょっと安定してきた。力で抑えにいこうとしてバランスを崩して、ボールがばらついた感じですよね」
――全体的に良かったというよりは、修正能力を見せた。
「最後(イニングを)伸ばしたんですけどね。いい感じで終わらせたいので、予定よりもちょっと長くなりました」
当初の降板予定から“延長”…6回続投に見えた首脳陣の意図
――課題も、良さも出た登板になった。
「まず3回までは最悪ですよね。最悪から最高に持っていけたところが彼にとっては良かったところ。悪い中から試合の中で調子を上げられた。前回はごまかして抑えましたけど、今回は途中から真っすぐも変化球も状態を上げて終わることができた。普通やったらもう3回でアウトでしょうね」
――当然かもしれないが、首脳陣としては甘くはない評価をしている。
「僕もピッチングコーチも一緒ですよ。だから、スピードガンとかボールの速さじゃない。相手がどう対応してくるかを僕らは見ているわけなので。大野(稼頭央)がそうですよ。あれだけ空振りを取れたわけなので。打者と勝負するんですから、打者の感じをどう捉えるか、ですよね。大事なのは」
――1軍登板を経験した大野投手は1回1/3を投げて無失点。
「球威は確かに出てきましたけど。ただまあ、これはゴールでも何でもない。ここからもっと変化球も真っすぐも、精度を上げないと。1軍でずっと定着して投げていくことに関しては、まだまだ課題はたくさんある。真っすぐ自体はね、良くなってきていると思うので」
――1軍の舞台を経験して顔つきは変わった?
「ちょっとは落ち着くというか。そんなに簡単な世界ではないのでね。イヒネ(・イツア選手)も、ちょっと変わったところがあるし。1軍のベンチであの空気を感じて、イヒネ自身もやっぱり練習に取り組む姿勢も変わり始めた。だから稼頭央なんかでも、野球の難しさであったり、怖さであったり、そういうのを感じてちょっと静かになったよね」
大野稼頭央も無失点投球「真っすぐが良くなってきた」
――静かになったというのは「より1球を丁寧に」という意識が芽生えたから?
「結果が出ないと落とされるわけやから。2軍は落ちるところがないので、正直。2軍から落ちたところで何も怖くないじゃないですか。でもやっぱり1軍から2軍に落ちる、成績が出なかったら落ちてしまうという恐怖がある。それとの戦いもあるんですよ。それを気にしすぎて結果を出せないのもあるし。そんなことを気にせずにどんどん投げられる方がいいんですけどね。でも実際初めて彼らは経験したと思う。1軍にいたいはずなので」
――宮崎颯投手はセーブを記録した。好調を維持している中、きょうの印象は?
「きょうの宮崎は、僕の想像以上に良かったと思います。2点差の緊迫したゲームで投げにいって、あんな簡単にアウトを取れるとは。僕の中ではちょっとバタつくかなとは思いましたけど。その辺は2軍でそれなりに経験をしてきたから。ストライクさえ取れていければね、なんとかなるので。宮崎に関しては本当にね、きょうは満点ですよね」
――育成投手同士でも、いい競争をしている。
「セーブ(シチュエーション)は、実は誰にも任していないですよ。僕がそこにこだわりがなくて。たまたま彼(川口冬弥投手)が本当に、自分でチャンスを全部生かしてセーブを重ねている。セーブを挙げるために投げさせたことは1回もないし。当然、防御率を見ればわかるように、これだけ抑えれば自動的に数字もついてくる。そして、いいシチュエーションを任されるようになる」
「それは当然一番信頼しているわけですからね。彼が本当に自分の力で掴んできた。だから宮崎はまたきょうの経験を生かしてチャンスを掴んでほしい。僕たちはチャンスはあげられますけど、掴むのは選手本人ですから」
――野手ではジーター・ダウンズ選手や石塚綜一郎選手が1軍に昇格した。残された選手はどう受け止めるべき?
「自分のチームにとっての立ち位置が、こういう(入れ替えがあった)時にわかってくる。そこを冷静にね。当然気持ち的に落ち込んだり、俺じゃないのかと思ったりはするんですけど。それでも実際、しっかりと受け止めて、自分の糧にしていかないと意味がないので。まあ悔しい思いもするけど、それを冷静に受け止める心も必要かなと。自分のためにね」
(竹村岳 / Gaku Takemura)