防御率0.00の大野稼頭央はなぜ抹消? 1軍帯同の意味…本人とコーチが明かす“プラン”

大野稼頭央【写真:古川剛伊】
大野稼頭央【写真:古川剛伊】

12日に伊藤優輔と入れ替わる形で抹消

 前日に好投したにもかかわらず、なぜ左腕は抹消になったのか。高卒3年目の大野稼頭央投手は12日、出場選手登録を抹消された。11日の巨人戦(みずほPayPayドーム)では本拠地デビューを果たし、2回無失点の好投を披露。安打こそ許したものの、その投げっぷりは今後に大きな期待を抱かせるものがあった。

 今季は3イニングを投げて無失点を継続している。好投を続ける中で抹消する理由は何か。この日の試合後、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は「枠の問題もあったし、ちょっとプラン的なところもあるので」と語った。大野自身はこの抹消をどう受け止めているのだろうか――。

「(1軍に)帯同はすると言われているので。きのう(11日の巨人戦)も状態は悪くなかったんですけど、少しコントロールがばらついたりすることもあったので。『抹消中の10日間で修正して、しっかりトレーニングも積んで、追い込んで』と言われました」

 登録抹消されたものの、左腕の表情に曇りはない。首脳陣に提示されたのは、1軍に帯同したまま、トレーニングを積むプランだった。10日間での“最短復帰”も十分に可能性はありそうだ。

倉野投手コーチが明かしたプラン

 倉野コーチも今後の方針を明らかにした。「稼頭央に関しては、高卒3年目であれだけのものを見せてくれているので。無理させることなく(歩みを)進ませたいなと思っている。“プラン的”な部分での抹消というところ。今週はこっち(1軍)で練習してもらいます」。抹消理由を説明したうえで、今後の起用方法についても言及する。

「すぐに1軍で先発というのは、まだ考えてはいないです。それでも実際に見ていて、先発できるポテンシャルはあると思うんです。ファームなら先発で(育てていく)、というところもあるんですけど。1軍では短いイニングで経験積ませて、ゆくゆくは先発投手としてやってもらいたいっていうのはあります」

左腕が目指す先発のマウンド

 大野自身も「たぶん中継ぎだとは思うんですけど。イニングが伸びていったら、もしかしたら……」と正直な思いを口にする。目指すところはまっさらなマウンド。この日先発した大関友久投手の快投から得るものが多くあった。

「先発で勝負したいですね。きょうの大関さんのピッチングを見て思いました。テンポもいいし、コントロールもいいし。バッターをしっかり見て投げているなっていう感じに見えて、勉強させてもらうことばかりでした」

 左腕が1軍で登板した2試合で、投手陣の起用プランに大きな幅ができたことは明らかだろう。この抹消からは、首脳陣の“ポジティブな判断”が伺える。再登録後には、どのような起用がされるのか。大野のポテンシャルに期待せずにはいられない。

(飯田航平 / Kohei Iida)