沖縄絡みで“実感”「1軍にいるんだ」ライバル左腕からは「腹立つ」発言…前田純の相関図

“せっかち”な後輩から「マイペースで腹立つ(笑)」

 鷹フル新企画「選手相関図」。今回は開幕からローテーションに入り、活躍を見せている前田純投手が登場です。日本文理大から2022年育成ドラフト10位で入団した左腕。今季はここまで8試合に登板して2勝1敗、防御率1.87と安定した成績を残しています。3桁から這い上がり、1軍の戦力になっている左腕は、チームメートとどんな関わりを持っているのでしょうか。

「良き友であり、ライバルです」。そう語った相手は、同期入団&同学年の松本晴投手でした。「サウスポーでもありますし、意識はしますよね」。昨シーズンまではリハビリ組を経験するなど、お互いが同じ“軍”に所属することは多くありませんでした。今年はともに開幕から1軍に帯同し「こういうことがあったって話もしたりして、そういう考えもあるんだって。勉強になりますね」と、より関係性は深まっているようです。

「マイペースすぎて腹立ちますよ(笑)。『なんでもっと早く動けへんのやろ』って」。沖縄出身の先輩左腕に物申したのは、滋賀県出身で自らを“せっかち”と認める前田悠伍投手。一方で松本晴投手は大阪出身ですが「僕がマイペースであることも踏まえて接してくれています。一緒にいても居心地がいいです」と笑顔で話していました。

 同学年左腕2人の共通点は“お笑い”。3月に「2000年会」を開いた時も、前田純投手と松本晴投手しか知らないようなマイナーなネタで盛り上がったそうです。「あの時ははしゃいでいましたね(笑)。本当にいろんな人が好きで、一緒に劇場を見に行ったりとか」とグラウンド外でも行動をともにしています。

ドラフトの同期はイヒネ、大津ら「これがプロか」

 ドラフト同期はイヒネ・イツア選手、大津亮介投手、大野稼頭央投手ら、さまざまな面々が揃います。「大津さんは入団当初からずっと1軍にいて、なんでもできる人」と尊敬の思いを口にします。前田純投手は高校時代、3年間で1度もベンチ入りができませんでした。だからこそ「自分では、ドラフトの中でもほぼ一番下から始まったと思っています。みんなすごく感じましたし、他の投手に最速を聞いても『150キロ』みたいな。普通にそういうことを言われていたので、『すげえな』『これがプロか』っていう記憶しかないですね」。

 大野投手とは、和田毅氏のもとで行っていた自主トレでも“同門”でした。「より高め合っていけたら。そういう存在になっています」。6月1日の楽天戦(楽天モバイルパーク)でプロ初登板を果たした20歳。前田純投手も「やっぱりすごいです。あと和田さんがすごいなって思いましたね。明らかに体幹の抜けが減っていたので。意識しているのが伝わってきました」。1軍のマウンドで20歳が見せた変化と成長を目の当たりにしました。

 1軍にいるからこそ、話す機会が増えた先輩も。有原航平投手については「エースっていう存在ですし、上にいないとお話もできなかった。有原さんの最初の印象は、すごく責任感が強い人。でも練習中はそんなこともなくて。ラフに声をかけてくださいますし、オンオフがはっきりされている方です」と、意外な一面も口にします。

 前田悠投手とは昨シーズンから交流するようになりました。19歳の後輩が「純さんには負けたくない」と言えば、25歳の左腕は「持っているものとしては、彼の方が格段に上」と本音を明かします。その上で「あいつは生意気で、ぐいぐいときますからね。年齢を意識するわけではないんですけど、そういうのもあって、大卒としては負けたくないです」と表情を引き締めていました。

「戦友」は三浦瑞樹…育成から這い上がったライバル

 他球団の選手とも関係性は深いです。中日・三浦瑞樹投手は2024年7月24日、同じ日に支配下登録を勝ち取りました。ともにサウスポーなだけに枠を争うライバルではありましたが、気兼ねなく言葉を交わす仲。そんな三浦投手の存在は「戦友」だと表現します。「同じ育成から入って、同じタイミングで2軍に上がったりもしていたので。長い間、一緒にいましたから」。6月4日の中日戦では、投げ合いが実現。8回無失点で白星を挙げ「よかったです」と安堵の表情を浮かべました。

 日本ハムの吉田賢吾選手も、同期入団&同学年。「賢吾はプレッシャーに強いです。急に『あ、きょうホームラン打てるわ』って言ったら、本当に打ったり」と明かします。現役ドラフトでの移籍が決まった直後、筑後市内の若鷹寮から福岡市内までの帰り道でドライブをしたそうです。「引っ越しをして同じマンションにしたのに、速攻でいなくなっちゃいました。唐突すぎて『こういうこともあるんだ』って」と、移籍を寂しがります。今季の対戦成績は6打数1安打。今後まだまだ機会が増えるであろう2人の対戦にも注目です。

沖縄出身の先輩たち…山川のおかげで実感できること

 ここからは沖縄の選手たちです。山川穂高選手は中部商高の先輩で「自分がいつも朝に挨拶するじゃないですか。『おう、マエジュン』って言ってくれるんです。自分の捉え方なんですけど、『いたのか!?』って感じがして、その絡みで僕は1軍にいるんだってことが実感できますね」と明かします。山川選手のホークス入りが決まる2か月前、実は「みやざきフェニックス・リーグ」で2人は対戦していたんだとか。チームメートになった時も「一緒になったからよろしくね」と声をかけてくれたそうです。

 東浜巨投手、又吉投手、嶺井博希選手らも「沖縄の先輩というだけで、なんだか話しやすいです。1軍だとか、プロ野球を通して気になることがあった時に相談しやすいです」と信頼を寄せる先輩たち。グラスを交わす際には、乾杯を意味する沖縄の方言“カリー”を必ず口にするそうです。大卒3年目の25歳ですが、さまざまな経験をしてきたからこそ、豊富な関係性が見える相関図でした。

(竹村岳 / Gaku Takemura)