栗原があえて掛けた“軽めの一言” 大関の好投引き出す気遣い…首脳陣も感謝「打てなくても…」

栗原陵矢(左)、大関友久【写真:古川剛伊】
栗原陵矢(左)、大関友久【写真:古川剛伊】

4回2死で栗原が大関にかけた言葉とは

 あえて空気を和らげる、らしさが溢れる声かけだった。みずほPayPayドームで行われた5日の中日戦。4回2死、大関友久投手が初安打を許した直後にマウンドに行ったのが、栗原陵矢内野手だった。

 左腕は初安打を許すまで、走者を1人も出さない完璧なピッチングだった。4回2死、岡林に二塁への内野安打を許した。4点差があるとはいえ、流れが変わりやすいタイミング。間髪入れずに栗原がマウンドへ足を運んだ。

 奈良原浩ヘッドコーチもこの行動に「自覚と責任、周りへの目配りは調子の良し悪しとは関係なしに助かる」と評価していた。ただ、栗原がかけたのは、意外な質問だった。

「『狙ってたか?』って聞きました」

 前日には前田純投手が6回1死まで無安打投球をしていた。先発投手による2日連続の好投で、栗原の頭に“偉業”が浮かんだのかもしれない。とはいえ、この時は、まだ4回2死。ゲームセットまで残り16アウトがある。早すぎる気もする問いかけだったが、大関は感謝していた。

「栗さんなりに何かを感じ取って来てくれたから、マウンドで会話できるのは嬉しい。周りを見るきっかけにもなる」

 栗原は普段から、投手との会話では軽妙なやりとりが多いという。それでも最後には「もうバッターに集中でいいから、どんどんいけよ」と、引き締めの言葉で1学年下の左腕を後押しした。

 結果、大関は7回を投げて3安打無四球無失点の快投。今季4勝目を手にした。栗原はその後も、8回には尾形崇斗投手、9回には大山凌投手にそれぞれ声をかけ、気を引き締めた。「打撃が本来の調子じゃないから守備もダメとかならずにね。ちゃんと切り替えてやってくれている」と奈良原コーチが話すように、チームの浮上へ欠かせない存在になっている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)