松本晴は先発…1軍から“消えた”中継ぎ左腕 首脳陣のリアルな評価、昇格の絶対条件は?

大江竜聖、木村大成、大野稼頭央(左から)【写真:森大樹、竹村岳】
大江竜聖、木村大成、大野稼頭央(左から)【写真:森大樹、竹村岳】

松本晴が先発&ヘルナンデス抹消で救援左腕はゼロに

 空いた枠を誰が奪うのか――。ホークスは21日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で松本晴投手を先発登板させた。24歳の左腕は開幕前にローテーション争いから漏れ、中継ぎに配置転換。しかし、12登板で防御率0.00と好投を続け、先発マウンドの挑戦権を手に入れた。5回を投げ3安打、無四死球1失点と試合を作った。

 この再配置で目の色を変えたのが2軍の救援投手陣だろう。松本晴が抜け、さらに22日にはダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が登録を抹消された。救援左腕はゼロとなり、巡ってきたチャンス。川越英隆コーディネーター(投手ファーム統括)と小笠原孝2軍投手コーチが明かした2軍投手陣の現状と1軍昇格の条件とは。

「右ピッチャーで(左打者を)抑えられるなら左ピッチャーはいらないので。左対左だから抑えられる時代じゃない」。川越コーチは「左だから」という理由だけでは、チャンスが増えたとは思っていない。大事なのは左だろうが右だろうが、打者を抑える能力があるか、ないかだ。

 その中で川越コーチが求めたのは、内角にしっかりと投げ込めること。「左のいい打者は多いですからね。どうやって抑えるかってなった時に、左右関係なく、内角に投げ込める精度が高いピッチャーの方が通用すると思います」。そのためには技術だけではなく、気持ちの強さも必要。「度胸ですよね。度胸をしっかりつけていくようには言っていますけど」と明かす。

2軍で好調の20歳…川越コーチ「悪い時でも…」

 負傷者を除けば、支配下の救援左腕では、大野稼頭央、田浦文丸、大江竜聖の他に木村大成がいる。川越コーチは「皆よく投げられています」と救援投手陣に一定数の評価を示す。その中でも、絶賛したのは大野の投球だった。20日のウエスタン・中日戦(タマスタ筑後)では二塁打と2四球で1死満塁のピンチを招いた。ただ、そこから村松を遊飛、石伊を空振り三振に仕留めた。

「2つの四球を出しましたけど、結果を見れば粘り強く無失点なので。いい時も悪い時もあると思うんで、悪い時にどういうピッチングをするかっていうのが一番。悪かったら悪いではダメなので。悪い時でも粘り強く投げるのがピッチャー。きょうはそういう感じだったので、いいんじゃないですかね」

 また、新戦力の大江についても言及。移籍後は2試合に登板し、共に打者3人で抑えるパーフェクト投球を披露。「1軍でどういった感じになるかっていうのはあると思いますね。ジャイアンツ時代にも1軍で投げていますからね。早めに1軍で投げてもらえたらいいなと思っています」と期待する。

チャンスのはずが…小笠原コーチからは苦言も

 小笠原コーチも「他の選手もそうだろうけど、しっかり内角に投げ込める。それが一番重要なところだと思いますね」と話す。その上で、大江や大野に言及し「左が嫌がるようなボールがあるので。それが出せれば当然上がってくる」と期待する。一方で、2軍投手陣については苦言も。「物足りない。もっとガツガツしてほしいですね。絶対に僕が掴み取るんだというのは感じない」と厳しい言葉を述べていた。

 20日のウエスタン・中日戦では、計6人の投手が登板し、完封リレーで勝利した。松山秀明2軍監督も「中継ぎのピッチャーが良かったですね」「0点に抑えたことは価値がある」と評価。1枠を巡る争いは、静かに始まっている。強気に攻めることができた投手が次のチャンスをつかむ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)