大江&秋広の加入で支配下枠は残り「3」に
意外な形で支配下枠が1つ減った。ホークスは12日、リチャード内野手との交換で巨人から秋広優人内野手、大江竜聖投手を獲得。1対2のトレードにより、支配下登録選手の枠は「66」から「67」になった。
今季ここまで、育成から支配下になったのは山本恵大外野手のみ。残り3枠に減った狭き門を育成選手はどのように見ているのか――。「あの一瞬『うわっ』と思ったんですけど……」。
「別にその後は開き直りました。『やることは変わらないでしょう』みたいな。別に支配下になれなくなったわけじゃない。まだ枠はあるので」
そう語ったのは宮崎颯投手。今季ここまで2軍で8試合に登板し、防御率2.31。11回2/3を投げ、奪三振率は「30.2%」と高水準の数値を記録している。左の中継ぎが不足する現在、支配下登録候補の1人として期待がかかる。
入団直後にTJ手術「昔だったら焦っていた」
東京農大から2022年育成ドラフト8位で入団した左腕は、大学時代から覚えていた左肘の違和感が消えず、新人合同自主トレ期間中にトミー・ジョン手術を決断した。1年目の2023年は登板なし。昨季実戦復帰すると、今季2軍戦で初登板を果たした。
「昔だったら絶対に焦っていたと思います」。そう話す宮崎は、今では枠が減っても平常心を保っている。リハビリ期間中は思うように感覚が戻らず、キャッチボールすらままならない日々が続いた。そんな中、自分を見つめ直す時間を過ごしたことで精神的に成長できたことが平常心につながっていた。太田利亨リハビリトレーナー、松本輝担当スカウト、森山良二リハビリ担当コーチ(投手)と毎日のように話し合いを重ねた。
「周りの方々にもいろんな言葉をいただいて。その中で、自分で焦らず、まずは自分のやるべきことをしっかりやるっていうことを簡潔に考えています。毎日枠が減ろうがなんだろうが、自分のやることをしっかりしてアピールするっていうのは変わらないと思っているので」
大友が語った“チャンス”「1軍の試合で…」
2024年育成ドラフト3位で入団した大友宗捕手も、「やることは変わらない」と落ち着いた様子を見せる。社会人・日本通運を退社後、独立リーグ・BC茨城を経て加入した25歳の“オールドルーキー”は、「今年がラストチャンス」と1年勝負を掲げる。
「外的要因に振り回されないようには、常日頃から意識しています。自分がコントロールできることにしっかり集中できるように心がけています」
甲斐拓也捕手が巨人にFAで移籍した今季、1軍捕手は横一線のスタートだった。17日時点で先発マスクは、海野隆司が最多の23試合、続けて嶺井博希が10試合、渡邉陸が5試合、谷川原健太が3試合となっている。チャンスが決してないわけではない。
「育成ですけど、1軍の試合で使えると思われないと、支配下にはなれないと思うので。1番はやっぱり自分が1軍のスタメンマスクを被るために何をすればいいかっていうところの作業だとは思います」。
2軍で結果を残すことが大事なのは理解している。それでも、大事なのは1軍での結果。たとえ枠は減ったとしてもゼロになったわけではない。大友も「1番は自分。自分がやるべきことをきっちりやって求められる存在になれれば」。最後の1枠が埋まるまで、気持ちは変わらない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)