2020年の巨人ドラフト同期…伊藤が語る秋広
後輩の加入に、思わず顔がほころぶ。2020年ドラフトで巨人に入団し、指名順もひとつ違い。ジャイアンツ寮の部屋は隣同士だった。「素直に知り合いが増えるのは嬉しいです」。伊藤優輔投手にとって、秋広優人内野手は可愛い後輩の1人だった。
12日にチームは、リチャード内野手との交換トレードで巨人から秋広、大江竜聖投手を獲得した。2020年のドラフト会議では伊藤が社会人・三菱パワーからドラフト4位、秋広が二松学舎大付から5位指名を受けて巨人に入団。人的補償とトレードという別々の形ではあるが、同期入団の2人がそれぞれのキャリアを経て福岡で再会することになった。
今年2月の出来事。伊藤の送別会を兼ねたドラフト同期会で、秋広と食事をともにしていた。コロナ禍だった2020年入団ということあり、同期で集まるのはこれが初めてだった。「年上だし、最後くらい払っておこうと」と伊藤が全額支払った。「結果的に2人ともいなくなりましたね」。そう笑って話す伊藤が、再び同僚となった若き大砲候補の素顔を明かした。「入った時はあんなんじゃなかったんですけど…」。
秋広は入団会見で、キャンプの時に柳田悠岐外野手と食事に行ったことを明かしていた。伊藤も「どんな上の人でも怖気付かない」とその人柄を語ると「あいつは誰でも舐めています」と、ジョークを交え暴露する。年齢は伊藤が6学年上だが、「(秋広は)坂本(勇人)さんとかのレベルでも全然行くので」と苦笑いで話す。大先輩であろうが、ぐいぐいと距離を縮められるようだ。
秋広の“変化”「入った時はあんなんじゃ…」
坂本だけでなく、中田翔内野手とも自主トレを共にするなど、先輩から愛されてきた。「入った時はあんなんじゃなかったんですけどね。田舎者の高校生って感じだったんですけど、急に垢抜けだした」。18歳だった秋広を知っているだけに、その成長ぶりには驚かされる。
伊藤自身も今季からホークスへ加入。移籍する選手の気持ちも理解できる。入団が決まると、秋広と大江には「いつでも何かあれば言ってね」と伝えた。「わからないことからのスタートなので。そこはすごく不安な部分があったと思うので連絡はしました。1軍に行ったら鍬原(拓也広報)さんがいますし、こっちにいれば自分がいますし」。大江も「色々教えてくれたので助かりました」と感謝していた。
秋広は15日に1軍に昇格し、早速スタメン起用で安打をマーク。新天地で存在感を見せており、伊藤も刺激を受ける。「なかなか近い存在ではあるので。一緒に頑張りたいなと思います」。伊藤はここまで2軍で防御率5.10。結果には結びついていないが、「後半になった時に、誰かが欠ける時がある。その時に食い込めるように」。新天地の1軍で、再び肩を並べて戦うことを心に誓っている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)