有原航平に苦言「本来の姿にならない限りは」 5失点で4敗目…小久保監督も淡々

小久保裕紀【写真:古川剛伊】
小久保裕紀【写真:古川剛伊】

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

打線は1得点に終わるも「経験の浅い選手が頑張っている」

 ソフトバンクは16日、楽天戦(みずほPayPayドーム)に1-5で敗戦した。先発した有原航平投手が6回5失点で4敗目を喫した。開幕投手を託された今シーズン、苦悩する右腕のここまでの結果に対し、小久保裕紀監督は苦言を呈した。この日、取材に応じた指揮官の一問一答は以下の通り。

●試合前

――松井秀喜さんが若手時代を過ごした「松井部屋」が一般公開された。一人で練習することの大切さは?
「あの畳の部屋? 俺は一人が好きだったからね。今の子は特に、スマホやタブレットを手放す時間、これは間違いなく大事。情報が多いと脳が疲れるし、座禅やマインドフルネスをしている選手がどれくらいいるのかわからないけど。必須の時代です。アルゴリズムで自分の興味がある記事しか出てこないし、視野も狭くなる。これは『戦略的暇』って本を読んで納得した。俺も本はタブレットで読んでいるけど、本に戻そうかな」

――選手は新聞などを読んでいる?
「おらんのちゃう? 俺も読んでない。前は監督室に全紙が置いてあったけど、俺が監督になって、去年から置いていないし。日経(日本経済新聞)だけは読みますね。今の経済の動きや違いがわかるので」

山川穂高を4番から外した決断

――15日の西武戦、山川選手を4番から外した。改めて、監督にとって4番というポジションはどんなもの。
「選手がそこに野球観があるかにもよるんだけど、山川は持っているから。外す決断は難しかった。繋ぎの4番だとそういうことは考えないんだけど、彼も今の時代で4番は大切だと言っていたし、重きを置いているから。1人で背負おうとしすぎているところがあったし、1回解放して。それまでは繋ぎの4番でいくイメージです」

――山川選手を4番に戻すのも難しい。
「全然、無双し出したらまた戻しますよ」

――その形が理想であることは変わらない。
「そう。あとはきのうも言ったけど、勝つことが求められているので。1999年、首位にいたから俺も我慢してもらった。首位じゃなかったら2軍に行かされていたかもしれない。逃げ場をなくしてもらったと思っていたんですけど、あとで王会長に聞いたら『調子のいいやつまで悪くなるのが嫌だった』と言っていましたね(笑)。あとは(自分が4番を)一番知っているというのはあったと。タイトルも取っていたしね」

――昨シーズンは山川選手を4番から「逃さない」と言っていたが、そこに違いがある。
「勝つための監督なので」

40試合を評価、順位表は「見ていない」

――順位表はほとんど見ていない?
「去年も今年もほとんど見ていないです。(日本)ハムに走られたら嫌だなというくらい」

――交流戦も含めて、監督の中で星取りをどう考えている?
「星取りというよりも、ローテーションをどう組んでいくか、とか。そういうところ。きょうは有原だから落とせないし、だから有原と(リバン・)モイネロをカードの頭に置いているので」

――15日、死球で途中交代した野村勇選手は?
「大丈夫でしょう。打ちにいって当たっているので、あれは仕方ないです」

――野村選手も、今調子がいいだけに。
「でもこういうチーム状態になる前から話してきたけど、(レギュラーが)戻ってきた時にも簡単に外せない選手がちらほら出てきている。それがチームの厚みになる。新庄監督も言っていましたけど、主力選手がいない間にレギュラークラスの力をつけること。その通りだと思う。選手が戻ってきてからもアピールは続けてほしいです」

2軍降格となった廣瀬隆太にも言及

――廣瀬隆太選手が2軍で再調整となった。
「(現状では)セカンドでは使わないという判断です」

――二塁の練習を、2軍でしてきてもらう?
「(1軍で)使っても問題ないレベルになるまでは。現時点では厳しいという判断です。コーチは技量を上げるのが仕事ですけど、使うか決めるのは僕ですから」

――ファースト、サードというよりも、やっぱりセカンドで守備力をつけることが今後にも繋がる。
「もちろん。一、三塁はもっと出られない。その話も本人にはしました。試合が遠のいていくから。セカンドで成功体験を積むしかない」

――15日、渡邉陸選手のリードはどうでしたか。
「よかったですよ。(前田純とは)2軍の時から組んでいましたからね」

●試合後

――有原投手は初回から先制を許した。
「彼が本来の姿にならない限りは、ハムを追いかけるのは難しい」

――9日のオリックス戦では7回1失点。倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)も「状態は悪くない」と言っていたが。
「状態はね……。被打率は高いしヒットは打たれている。ランナーを出してから粘るのはスタイルですけど、この世界は結果なので」

――打線も追いかける展開となった。
「それはそう。でも経験の浅い選手が頑張っているし、やっぱり中心の投手が作っていく。そこだと思います」

――中村晃選手が適時打。4番の姿はどうですか。
「難しいこと聞くね。ああいうことができるから4番に置いているんです」

――有原投手はファーストストライクを狙われていた?
「それはわからないけど。とにかくチームの中心という選手が引っ張らない限りは、上位に食らいつくのは難しいです」

(竹村岳 / Gaku Takemura)