14日の西武戦で8試合ぶりスタメンの石塚
実に8試合ぶりのスタメンだった。14日の西武戦(みずほPayPayドーム)に「7番・左翼」で出場した石塚綜一郎捕手は第1打席で左前打を放ち、3打数1安打をマークした。ここまで打率.200。ベンチを温める日も多く「ただいるだけじゃ本当に意味がない」と危機感を募らせる。
12日にチームは巨人からのトレードで秋広優人内野手を獲得。左右の打席の違いはあるが、同じく一塁、左翼を守る大砲候補が加入した。近藤健介、柳田悠岐両外野手、周東佑京内野手の離脱で若手のサバイバルが始まっていた。
熾烈な争いの中、石塚のスタメン起用を推す声も多かった。数少ないチャンスを本人はどのように捉えているのか。また、コーチ陣に石塚の課題と今後の起用方針を聞いた。
右の長距離砲として期待がかかる23歳はプロ6年目の今季、キャンプからA組に入ると最後まで降格することはなかった。開幕は2軍スタートとなったが、正木の離脱で4月19日に今季初登録された。
1軍ではここまで打率.200、OPS.566。好結果を残せていないものの、11試合で28打席と出番は限られている。本人は「ひどい。去年よりもよくない」と苦悩を明かしていたが、14日の西武戦では、第1打席で三塁手のグラブを弾く痛烈な安打を放つなど、明るい兆しも見せている。
とはいえ、スタメン起用となると難しいのがポジションだ。現状、中村晃内野手と山川穂高内野手が一塁と指名打者を交互に分け合う形で起用されている。また、守備力を評価する指標「UZR」で石塚の左翼守備は-0.7と、平均以下となっている。
奈良原ヘッドコーチも「ケースバイケースですよね。こうだからこうね、っていうわけにはいかない」と悩める胸中を明かす。実際に9日〜11日のオリックス戦、13日の西武戦ではスタメンから外れていたが、首脳陣が京セラドームという広い球場で守備力を優先した結果だった。
石塚自身も守りをおろそかにしているわけではないが、「守備で出場するキャラじゃないのはわかっているので」と、打撃を買われて1軍にいることは理解している。だからこそ、数少ないチャンスをものにしないとスタメンという立場は見えてこない。
「僕もチャンスは少ないですし、代打の1打席とか。そういうところで結果を残していかないといけない。そこはもう練習の中で、トラジェクト(アーク)とか、ミックスを投げてもらったりとか。実戦感覚を養うしかない。そこは言い訳できない」
理解する存在価値…秋広とは「タイプが別」
主力を見ると、柳田、近藤、周東、中村ら左の強打者が並ぶ。現時点でスタメンが確約されている右打者は山川のみ。右の強打者という立場は有利だと考えている。そのため、秋広の加入も強く意識はしないという。
「僕は右の長距離で秋広は左の長距離。タイプは別だと思う。左打者はすごい人が多いので、僕は右で勝負していく。(トレードに関しては)僕は全然なんとも思ってない」
いずれにせよ、バットで結果を残さないことには、立ち位置は確立されない。「1軍にいる以上、結果を残してナンボ、試合に出てナンボの世界」。少ないチャンスをものにし、外せない存在になってみせる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)