広がる謎の掛け声「ウォンチュッチュッ」って何? 周東、今宮らも巻き込み…上茶谷が語る真相

リハビリ組で円陣を組む上茶谷大河【写真:竹村岳】
リハビリ組で円陣を組む上茶谷大河【写真:竹村岳】

元ネタは吉本に所属する芸人…「めっちゃ前から」

 どんな意味なのか、最初はわからなかった。故障からの復帰を目指し、地道な日々を過ごすチームメートを、少しでも明るくしたかった。上茶谷大河投手は2月14日に「右肘関節クリーニング術」を受け、実戦復帰を目指している。「結構前です。みんなが気がつくようになったのが最近で、めっちゃ前からやっています」。リハビリ組の“謎の掛け声”は「ワンチュッなウェンチュッなウォンチュッチュッ」?

 元ネタは、吉本興業に所属するお笑い芸人「ヤジマリー。」だ。2009年に結成されたコンビ「スカチャン」のメンバーで、YouTubeチャンネル「ヤジマリー。エンターテイメント」も開設している。上茶谷は「僕も芸人ですから」と自身のキャラクターを表現するが、なぜこのネタに行き着き、リハビリ組の集合に導入するようになったのか。「なんでやっけな……」と言いつつ、なんとか思い出してもらった。

「僕が2月にリハビリでこっち(筑後)にきたんですよね。それで、ウエート室でハセ(長谷川威展投手)と2人でなんかやってたんですよ。何がきっかけかわからないんですけど、2人で『ワンチュッなウェンチュッなウォンチュッチュッ』ってやっていて、ここまで大きくなりました」

 後に左肘の「トミー・ジョン手術」を受ける長谷川と、2月からリハビリ組を盛り上げていた。明るいキャラクターの2人は、すぐに意気投合。表情が暗くなってしまいがちな日々の中、導入したのが「ヤジマリー。」のネタだった。「最初、集まって『何か、やらん?』みたいな。それで手を出して、最初3人くらいしかやっていなかったんですけど、次の日から森山(良二リハビリ担当)コーチが『俺も入りたい』って言って、全員が入るようになりました」。

 森山コーチに聞いてみると「俺はそんなこと言ってない!」と否定されたが、今や集合に自ら加わる1人。上茶谷が「野手も(山下)恭吾が『入りたい』って言い出して、『じゃあ野手も入ろう』ってなって、全員入らせています」と語るように、リハビリ組は少しずつ明るくなっていった。その中心にいるのは、間違いなく背番号64だ。

5月5日にはついに今宮&周東も巻き込んだ

 周東佑京内野手が5月2日、今宮健太内野手が5日にリハビリ組へ合流すると、上茶谷は先輩たちを“巻き込もう”とした。足取りは明らかに重かった2人だが、結局は円陣に参加。主力選手たちにも少しずつ浸透してきた中で、上茶谷が「乗り気です」と明かすのが、意外にも近藤健介外野手だった。

リハビリ組の円陣に渋々と参加する今宮健太と周東佑京【写真:竹村岳】
リハビリ組の円陣に渋々と参加する今宮健太と周東佑京【写真:竹村岳】

「コンさんがだいぶ習得してきました。最初『何それ?』って聞かれたので、『ウォンチュッチュッ、で手を挙げます』『ウォンチュッチュッね』みたいな。コンさんは乗り気です。浸透してきました」

 ここで上茶谷は、思い出すように言った。「1軍でもやっていませんでした? 勇がホームラン打った時」。

【自分のスイングを信じて】野村勇『鮮烈スイングで左翼席に叩き込んだ!今季2号ソロで勝ち越し!』
【動画:パーソル パリーグTV】

「1軍でもやってませんでした?」明かされた真相は…

 4日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)、野村勇内野手が2号ソロを放った。ダイヤモンドを一周しベンチに戻ってくると、佐藤直樹外野手となにやら楽しそうなそぶりを見せていた。兵庫県出身の背番号30は「リハビリ組でもやっているのは知っていましたけど、もともとその芸人さんがやっているのも知っていました」。上茶谷は「マジで1軍まで広がってほしい」と願っていたが、佐藤直は「かみちゃさんの影響ではないです。そうやって書いておいてください」とキッパリ“否定”した。

 上茶谷自身もライブBPをこなすなど、順調にリハビリが進んでいる。マウンドに立つ姿も少しずつ見えてきた。右腕の影響で、前向きに取り組んでいる後輩もきっといるはず。「リハじゃなくても明るく、ですよ。気づけば、僕も(リハビリの中で)年長ですしね」と、真面目な表情をのぞかせる。プロ7年目で、今年の8月には29歳になる。「きのう、アップで太ももつったんですよね。もうええわ」。オチまで完璧だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)