倉野コーチの評価…明確な課題「事実なので」
「今シーズンは中継ぎで頑張ります、って感じではないです。ずっと先発で投げたいです」。はっきりと言い切った。ここまで11試合連続無失点と好投を続ける松本晴投手は、並々ならぬ思いを口にする。
今春のキャンプ期間中は、先発ローテの一角を争った。チーム編成上の影響で開幕直前に中継ぎに配置転換。ビハインドからロングリリーフと、難しいポジションにも関わらず、無失点投球を続けている。
力強い直球に加えて、何より結果を残している。先発でその姿を見たいという声も聞こえてくる。さらにチームは12日にトレードで救援左腕、大江竜聖投手を獲得した。期待の有望株を今後、どのように育成、起用していくのか。倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)の評価、そして明かした方針とは――。
今季は全試合で救援登板。5月5日の西武戦(ベルーナドーム)では、両チーム無得点の5回から2イニングを投げて無失点。チームの得点を呼び込み、今季初勝利を挙げた。「(4回まで無失点に抑えた)大津さんから奪い取ったもの」とジョークを交え、あっけらかんと話した左腕。ただ、中継ぎで好投を続ける今でも、先発への強い思いは変わらない。
「今は出られるところで出るだけ。でも、先発するモチベーションが自分のエネルギーを生み出しているので。だから『今シーズンは中継ぎで頑張ります!』って感じではないです。『明日、先発でいってくれるか』と言われれば、『いきます! いけます!』。そういう気持ちです」
倉野コーチは「ゆくゆくは(先発も)ってことは考えている」としつつも、「今すぐにする、ということは考えていない」と断言する。現時点では、「先発としての評価より、中継ぎとしての評価が高いという状態」と表現した。課題として挙げたのは、スタミナ面だ。
「今の時点では…」中継ぎだからこそ出る良さ
「ハイパフォーマンスを維持していくスタミナの課題が残っているのは事実なので。今の晴の良さが、中継ぎだからこそ出ている部分でもある。もちろん、あのパフォーマンスが1回から9回まで出せるなら先発をできますけど。それは杉山(一樹投手)だって同じ。晴に関しては、中継ぎで『1イニングを全力で』というのが、今の時点では良さが出ているので。それを伸ばしていきたいなと思いますね」
オープン戦では4試合で防御率2.25と好成績を収めた。一方で、2軍でローテーションを回るよりは1軍で少しでも経験値を積む方が良い。そんな首脳陣の親心でもある。悔しさこそあれど、松本晴自身も今の立場で得られるものは多いと話す。
「最近はすごくいいところで、本当に1点も与えられないメンタル的にもしんどい場面を多く経験できている。先発にいった時に苦しい場面とか、疲れてピンチを迎えることってあるじゃないですか。今はピンチを迎えてからのピッチングを何回も経験できるので。それは絶対に生きると思っています」
メッツ・千賀滉大投手、ドジャース・山本由伸投手も最初は中継ぎからブレークした。先発の道が閉ざされたわけではない。チャンスは必ず巡ってくる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)