誰もがアウトだと…柳町達だけは見せなかった“隙” 小久保監督が絶賛したプレーとは?

4回に内野安打を放つ柳町達【写真:栗木一考】
4回に内野安打を放つ柳町達【写真:栗木一考】

4回先頭で内野安打…ショートへの痛烈なライナーを放った

 指揮官も絶賛する姿だった。ソフトバンクは11日、オリックス戦(京セラドーム)に7-1で大勝。ヒーローインタビューに選ばれたのは、2本塁打7打点と大暴れした嶺井博希捕手だった。頼れるベテランは「こういうことは2度とないと思います。しっかり練習していきたいです」と、謙遜しながら感触を振り返る。そんな中、隠れたファインプレーを見せたのが柳町達外野手だった。

 持ち味でもある選球眼を生かして、1安打1四球。2得点という活躍で「よかったと思います」と振り返る。嶺井の3号3ランを呼び込んだのは、4回だ。先頭打者として打席に立つと、外角球を三遊間に弾き返した。ライナー性の打球に、遊撃・紅林が飛び込む。捕球したかに見えたが、わずかにグラブから溢れてしまっていた。

 白球がフェアゾーンに落ちているところは、柳町からも死角だったはず。誰もが遊直だと思っただけに、小久保裕紀監督も「こっちから見ていてもショートライナーと思ったし、なんで投げたんかなって思ったけど。よく走っていたし、素晴らしい走塁でしたね」と絶賛だ。牧原大成内野手も右前打で繋ぎ、嶺井に一発が生まれた。展開をも左右した好走塁を本人は「僕からも打球は全く見えていなかったです」と、安堵した表情で振り返る。

「ちょっと緩めてしまったんですけど、よかったです。一塁に投げてきたので『やばい、走らないと』って」

一塁を駆け抜ける柳町達【写真:栗木一考】
一塁を駆け抜ける柳町達【写真:栗木一考】

毎打席理解しているのは「その場のニーズ」

 今季はここまで26試合に出場して打率.347。開幕1軍は逃したものの4月1日に昇格し、武器である打撃面で思う存分に結果を残している。チームは3・4月、9勝15敗2分けと苦しんだ。逆境の中でも「大変でしたけど、やることをやるしかないなと思っていました」と、集中力は途切れさせなかった。

 打順別では、6番と7番で8試合ずつ起用されている。5番を打つ中村晃外野手の「後ろ」を託されるようになってきた。「どこを打つかは、あんまり気にせずに。その場の役割があると思うので、それを理解してやるだけかなと思っています」と頷く。出塁率.466、得点圏打率.444と、多様な役割に応えられるのが最大の強みだ。

 2025年は、プロ6年目のシーズン。「打席内での意識をニーズに応えられるか、結果はわからないですけど。今はやりたいことが明確に絞れていることが、いい状態が続いている要因かなと思います」と語った。主力選手の離脱が相次ぐ状況で、頼もしすぎる存在感。「埋めるとか、そういうことは考えていないです。できることをやっていくだけです」と、凛々しい表情で見据えた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)