手術直後から変わった体「怪我とかも増えて」
意外な事実を明かした。近年の低迷は思わぬところに原因があった。「完全に自分でもわかるぐらい変わっていたので」。野村勇内野手に変化が起きたのはプロ2年目の2023年3月、腰の手術直後だった。
6日の西武戦では自身初の4安打。今宮健太内野手が登録抹消された1日から6戦連続でスタメン起用され、その間、打率.417(24打数10安打)、1本塁打、1打点、OPS1.170と圧倒的な成績を残している。小久保裕紀監督も「野村は外す理由がないからね」と手放しで称賛していた。
2022年にパ・リーグ35年ぶりとなる新人での2桁本塁打&2桁盗塁を達成。しかし、翌2023年は50試合で打率.160、昨季は打率.116と低迷した。手術直後に変化したのは自身の“体質”だった――。
「元々、体脂肪があまり付かない体質だったんですが、(手術をしてから)脂肪がつきやすくなって。食べたら食べた分だけ体重が重たくなって、怪我とかも増えてみたいな」
異変は2023年の開幕前に内視鏡下椎弓形成術を受けてからだった。全身麻酔や、抗生物質の摂取で腸内環境が悪化。「自分の良い菌まで死んでしまって、太りやすくなっていました」。本来の動きができないだけでなく、骨自体が重たい体に耐えられなかった。2024年には左坐骨疲労骨折で戦線離脱。戻ってからも長打はゼロと持ち味が消えた。
そんな野村の転機になったのはトレーナーのアドバイスだった。「(手術を経験すると)違う体質になることがあるらしいと。腸内環境を元に戻した方がいい。良い菌まで死んでしまってるからやった方がいいよと言われて」。今オフ、一定期間断食する「ファスティング」に取り組んだ。
2年間の不振…野村勇が取り組んだこととは
内臓に負担のかかる油ものの摂取を制限。食事改善の効果はすぐに現れた。体脂肪率も減り、太りにくい体に戻りつつあるという。「良くなったというより元に戻っただけです」と納得の表情を見せる。
もちろん、それだけが好調の理由ではない。今季は4月11日に1号ソロを放って以降、5月1日まで打席に立つことはなかった。それでも、「難しいと思うんですけど、しっかりできていたと思います」と話すように、最先端の打撃練習マシン「トラジェクトアーク」を打ち込み、実戦感覚を消さないようにした。
奈良原浩ヘッドコーチも「今まで取り組んできたことが結果として出ているので、続けてくれればいいとは思う」と評価する。さらにレギュラーとしての期待も。「出続けることで、新たに見えるものも出てくるでしょうから。それに対してどう対応していくか。1年間フルでやっていくのが大事だと思うので」。身体能力の高さは知っているからこそ、要求は高くなる。
「チーム的にはピンチですけど、僕はチャンスだと思ってやってます」と野村。長い苦悩から抜け出し、自らの“立ち位置”を確立しつつある。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)