
リハビリ中も思い続けた「チームのために」
人気企画「鷹フルシーズン連載〜極談~」。今回は栗原陵矢内野手を深掘りします。第1回のテーマは、チームが苦戦を強いられた4月、栗原選手が柳田悠岐外野手に送ったLINEについてです。
栗原選手は3月11日、巨人とのオープン戦(長崎)でフェンスに激突し、右脇腹を負傷。開幕をリハビリ組で迎えました。チームは開幕3連敗を喫するなど波に乗れず、栗原選手自身も苦しいリハビリ期間を過ごしていました。4月17日に1軍に復帰しましたが、チームは厳しい戦いを強いられている状況です。そんな中、右脛骨挫傷で離脱中の柳田選手にメッセージを送った「意味」に迫ります。(次回連載は4日に掲載予定)
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柳田に聞くからこそ意味があった。チームは開幕から3連敗。自身も苦しいリハビリ期間を過ごす中で、その胸にあったのは純粋な思いだった。「早く1軍に戻って、やっぱり勝利に貢献したいというか。チームのためになんとかしないと。チームのために早く戻りたいっていう気持ちだけですね」。特別な気負いはなく、「普段通りやるだけ」と自らの役割を全うすることだけを見据えていた。
そんな栗原が4月20日の西武戦(ベルーナドーム)の試合後、柳田に連絡をしたことを明かした。「昨日、柳田さんにLINEして『どうやったら勝てますか?』って言ったら、『野球上手くなるしかない』って言われました」。その行動の裏には、チームの中心選手として長くホークスを引っ張ってきた柳田への深い尊敬があるからだった。
「やっぱり、あの人1人の力でチームの雰囲気が変わったり、チームの勝敗にすごく大きく関わる存在なので」
栗原自身もチームを引っ張る立場であることは当然、自覚している。だからこそ「核となる選手がいない中で、どうやって勝ってきたのかな? こういう時ってギータさんならどうするのかなっていう思いがあって連絡しました」と、先輩の思考に触れようとした。
周東佑京から受ける刺激…「なんとか2人で」
「去年から言ってきましたけど、(周東)佑京(内野手)さんと2人でなんとか次のソフトバンクホークスっていうものを、引っ張っていきたいなっていう思いはあるので」
リハビリ中や、3軍でプレーしていた時、選手会長の言動が際立って見えた。「プレーもそうですし、いろんな記事で見ましたけど、発言もそうです。チームリーダーというか、チームを引っ張っているっていうのは感じました。すごく責任を持ってプレーしてるなって思っていたので」。周東が示すリーダーシップに刺激を受けていた。
チームを長年引っ張ってきた柳田という大きな存在から学び、周東という同世代の盟友と共に、これからのホークスを牽引していく。相次ぐ主力の離脱もあり、苦しいスタートを切ることになったが、「自分ができることをゲームで100%出せる準備をして、試合に臨むっていうことだけしかできない」と足元を見つめる。
大きな期待を背負いながらも、驕ることなく、1打席、ワンプレーに全力を注ぐ。常勝軍団を築いてきた先輩たちの姿もそれと同じだった。栗原が1軍に復帰した4月17日。その日以降、背番号24番が三塁を守っているだけで、チームの雰囲気は確かに変わっていた。
(飯田航平 / Kohei Iida)