山本が1軍で感じた壁…「失敗できない」
初の2軍降格をどう受け止めたのか。育成選手から支配下登録を勝ち取り、即昇格を果たした山本恵大外野手。しかし、1軍の壁は厚く、出場4試合で11打席ノーヒットと結果を残すことができなかった。チーム事情も重なり、26日に出場選手登録を抹消され、2軍での再調整が決まった。
「結果も出ていないんで、当然だと思います」。期間にしてわずか14日。悔しさを滲ませながらも、冷静に現実を受け止めた。山本は1軍の舞台で何を感じ、何を学んだのか――。「これがプロ野球だっていう感じです」。過ごした時間こそ短かったが、その経験を糧にする決意が滲む。
「雰囲気に飲まれるというか、緊張とか焦りとかもあって。そういった面がすごく印象的というか。本来の力が全然発揮できなかったので。対戦相手と勝負するというより、自分と闘ってしまっていた感じです」
1軍で最も印象に残ったのは、大観衆が生み出す独特の雰囲気だった。初めて体験するプレッシャーの中で、平常心を保つ難しさを痛感した。次に見据えるのは、その雰囲気に打ち勝つこと。「それが一番、1軍に来て思ったことですね」と、今後を見据える。
奈良原浩ヘッドコーチからは「下でやることはたくさんある。しっかり打って、また呼んでもらえる準備しておいてくれ」と、伝えられたという。2軍では打率.486を記録している25歳。「それをキープするぐらいじゃダメですね。もう1段階上げて呼んでもらえるように」。再び声をかけてもらうために、さらなるアピールを続ける覚悟だ。
胸に誓った総合的なレベルアップ
「打つのもそうですけど、守備と走塁も1段階、2段階と上げていかないと。最初から出る選手とは言われているんですけど、(試合の)途中からも行けるようにしっかり総合的なレベルアップをしないとなっていうのはすごい感じました」
持ち味の打撃はさらに鍛錬を積む必要はあるが、守備と走塁においては特に1軍と2軍のレベルの違いを痛感した。「失敗できないというか。2軍はいろいろチャレンジして、うまくなっていくところですけど」。ファームでは失敗を恐れず、多くの挑戦を重ねていく考えだ。
「短かったですけど、すごく濃かったです。また戻ってきたいとも思いますし、これがプロ野球だなっていう感じです」
わずかな期間ではあったが、周囲が期待する以上のものを山本自身がしっかりと感じとっていたことは今後のホークスの力になるはずだ。「この経験を無駄にしないように」――。ファームで牙を研ぎ、再び1軍の舞台へ返り咲く日を目指す。山本の目はしっかりと前だけを見据えていた。
(飯田航平 / Kohei Iida)