首脳陣から進言「代えた方がいい」 ベンチ冷や汗…周東佑京が明かす“死球の瞬間”

ソフトバンクの周東佑京【写真:荒川祐史】
ソフトバンクの周東佑京【写真:荒川祐史】

3人のコーチが振り返る瞬間「怪我とも付き合いながら」

 ソフトバンクは23日、オリックス戦(みずほPayPayドーム)で6-2で勝利した。しかし、周東佑京内野手が右足に死球を受けて途中交代。あくまで軽症であることが強調されたが、スタンドが騒然とするシーンだった。圧倒的な存在感を示し続けるリードオフマン。右足の状態について本人、そして奈良原浩ヘッドコーチ、村上隆行打撃コーチ、大西崇之外野守備兼作戦コーチの言葉から紐解いていく。

 初回の打席では三塁への内野安打。開幕からの連続試合安打を「19」とすると、4回2死一、二塁では左中間に2点三塁打だ。今季のヒット数も「30」とし、とことん波に乗り始めていた。6回2死三塁で打席に入ると、右腕・権田の直球が右膝付近の直撃。苦悶の表情を浮かべながらその場に倒れ込み、肩を担がれてベンチへと下がった。代走を送られて途中交代となった。

 9回の守備の際にはベンチに再び姿を見せ、笑顔も浮かべていた。小久保裕紀監督も「きょうの死球は大したことはないと思うんですけど、(左)膝と向き合いながらやってほしいなと思います。打撲と聞いています」と言及。首脳陣にとっても、冷や汗をかいた瞬間ではあった。

 奈良原コーチは「大丈夫そうでした。あさってになってみないとわからないですけど。当たった時はやばいなと思いましたけどね」と振り返る。箇所についても「膝のところではなくて、それよりも下。腓骨でもなかった」と明かした。試合後、周東本人も自力で歩いて帰路に就いていた。

 18日、19日の西武戦(ベルーナドーム)は欠場したものの、19試合に出場して打率.345、6盗塁。柳田悠岐外野手、近藤健介外野手らが離脱している中、リードオフマンとしてチームを引っ張り続けている。村上コーチも「大丈夫じゃないですか? あしたは移動で休みなので、1日ありますから」と安堵した表情を浮かべる。今年2月の春季キャンプ、周東と交わした“約束”を胸に、今も打線を組み続けている。

「今年は(バットの)面を使って打つ、反対方向への意識というところで『出塁率.370にしようや』と、キャンプの時から話してきました。最多安打も目指していると思うし、目標設定している中ですごさが出ているので。抜けられるとキツいですよ。そういう意味でも、今一生懸命、怪我とも付き合いながら引っ張ってくれています」

ソフトバンクの周東佑京【写真:荒川祐史】
ソフトバンクの周東佑京【写真:荒川祐史】

「中堅」を任せられる貴重な存在「突出している」

 悶絶した死球の後でも、周東はベンチからナインを応援した。そんな姿を見ても「すごく声を出して引っ張ろうと、行動で牽引してくれています。気力、気持ちが充実しているからですかね」と、村上コーチは頼もしさを寄せる。「若い選手が、そういうところを見て盗んでほしいなと思います」と、まさにお手本となっている。

 外野守備も、超一級品。小久保監督は、今のチーム内でも中堅を任せられるのは「佑京、佐藤直樹、緒方理貢、あとは笹川吉康じゃないですか」と名前を挙げていた。たった4人しかいない貴重な存在。大西コーチも「周東の守備範囲は突出している。投手からの信頼もあるし、彼が捕れなかったら仕方ないわ、というのもあると思うから。そういう選手をあと2人くらいは作りたいよね」と同調した。

 死球の場面は三塁コーチャーズボックスから見守っていた。「大丈夫だとは思うけどね。ただ膝(付近)だったし、あそこで続けて出るよりも、点差もちょっとあったから。自分からも一応『代えた方がいいと思います』とは言いました」と明かした。交代という決断に時間を要さなかったから、すぐにベンチから牧原大が出てきた。

 周東本人は「当たった瞬間はしびれましたけど。腫れているのは腫れていますけど、骨は大丈夫だったので」と明かす。村上コーチも「(何もなければ)1番だと思いますけど、状態を見ながらです」と話すにとどめた。24日、チームは仙台へと移動する。細心の注意を払いながら、1つ1つ、白星を積み上げていく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)