同期入団の山本が明かした負傷直後の会話
ライバルの前に、親友でもある。左腕を押さえ込み、苦悶の表情を浮かべる同学年を心配そうに見守った。「ずっと見ていて『マジか』って感じでした。痛そうだったので」。山本恵大外野手は一夜明けたても困惑した表情だった。
18日の西武戦(ベルーナドーム)に「5番・左翼」で出場した正木は5回の第2打席でスイングした際に左肩を負傷した。そのまま途中交代し、病院に直行。「左肩亜脱臼」と診断された。
試合後、正木のスーツケースを持ったのは山本だった。1999年生まれの同学年で、ドラフトも同期。負傷した正木を気遣っていた。
「自分がキャリーケースをホテルに下ろす役割だったので。『キャリーケースやっておくわ』『よろしく~』みたいな」。心配だったが、現状は本人が一番わかっている。あえて平然と普段通りのラインを送った。「多くは話していないですけど、(試合後の連絡は)そんなに深刻そうではなかったですね」。山本はいつも通りの返事に少しばかり安心した。
正木は開幕から全試合で5番を任され、打率.259、2本塁打8打点を記録していた。すでにチームでは、近藤健介外野手が腰の手術を受け、柳田悠岐外野手が11日のロッテ戦(ZOZOマリン)で右足に自打球を受け骨挫傷。外野手の負傷が相次いでいる。
主力の離脱は痛手であることは間違いないが、若手にとってはチャンスでもある。山本も柳田の離脱で12日に急遽支配下登録された。「彼の分までではないですけど、レギュラーで正木がやっていた中で、また1人怪我で離脱ということで。チャンスではないですけど、出場する機会は少し増えると思うので。出た時はしっかりそこで役割を果たして」と山本も意気込んでいた。
12日の支配下登録の会見では「1年でも長く野球をやっていけるような選手になりたい」と力強く宣言していた。16日の楽天戦(みずほPayPayドーム)ではプロ初打点を挙げたが、ここまで8打席に立ち、6打数ノーヒット。「レギュラー陣が戻ってきた時も1軍にいられるように」。正木らの復帰までに自らの立ち位置を確立させる覚悟だ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)