柳田悠岐は44歳でも1軍戦力 自ら口にする“あと2年”の勿体なさ…38歳でも驚異の「.735」

37歳シーズンの柳田…2年先の成績は?

 ホークスの“顔”として長年活躍してきた柳田悠岐外野手は、今年10月で37歳を迎える。2019年オフに結んだ7年契約は今季が6年目。本人は契約満了後の現役引退を匂わせるような発言をしていることもあり、柳田のプレーが見られるのは今季を含めて残り2年となる可能性もある。

 すでにベテランの域に入っているとはいえ、これだけの成績を残してきただけに、2年後でもまだ十分に戦力となる姿を想像するファンも多いのではないか。では、“未来の柳田”は実際にどれくらいやれるのか。今回はデータをもとに「柳田の引退はどれほどもったいないのか」を具体的に“予測”してみよう。【記事量:2,100文字】

 データ分析が発達した現代では、未来の成績を機械的に予測することが可能になっている。過去の膨大なデータに基づいた傾向から、選手が今後どれくらいの活躍を見せるか、おおよその見通しを立てるのだ。例えばベテランは出場機会が減り成績が低下しやすい、ある年に突然成績が向上した選手は翌年の“揺り戻し”が起こりやすいなど、選手一般の傾向を加味した上で、過去の成績から予測を弾き出すことができる。

 では成績予測システムで、柳田の今後2年の成績を確認してみよう。

柳町、正木の“2年後”の成績と比較

 まずは予測された打席数に注目してみよう。成績予測システムによると、今季の柳田は423打席、2026年は360打席に立つ見込みだ。規定打席にこそ届かないものの、この2年もレギュラー級の出場機会が予測されている。もし柳田が契約満了後に引退するようなら、ホークスはレギュラー格の選手を失うことになる。

 さらに注目したいのは打撃の質だ。1打席あたりの総合的な攻撃力を表すOPS(出塁率+長打率)を見ると、柳田は2025年が.776、2026年が.735と予測されている。成績が大きく下降すると予測される2026年でさえ、その年のホークス野手陣でこの数字を上回る予測が出ているのは近藤健介外野手と山川穂高内野手の2人のみ。1軍の戦力であるどころか、やはりレギュラーとして優秀な成績を見込めそうなのだ。

 現在、外野の定位置獲得を狙っている柳町達外野手や正木智也外野手の成績推移はどうか。彼らも一定の活躍は見せる予測だが、やはり柳田には及ばないようだ。2026年のOPS予測は柳町が.690、正木が.680。これはそれぞれ29歳、27歳と、選手としては全盛期といえる年齢にある時点での成績だ。ただ、それでも38歳を迎えるシーズンの柳田には及ばないのだ。

 データの観点で見ると、柳田は来季終了時点でも依然としてチーム上位クラスの打者として十分に戦力となる存在だ。もちろん機械的な予測に過ぎないが、それでもこれを見ると「残り2年での引退」はどうしても惜しく感じてしまう。

「2000安打&300本塁打」の達成タイミング

 予測という観点で考えた時にもう1つ見逃せないのが、柳田がキャリアの節目ともいえる「通算2000安打・300本塁打」に迫っている点だ。昨季終了時点で1595安打、264本塁打を記録しており。どちらも大台に近づいている。とはいえ残り2年での到達は難しく、どちらの記録も契約満了以降の現役続行なくしては実現が難しい数字だ。

 2025~2026年の成績予測を見る限り、柳田は今後2年間もレギュラー級の成績を残すと見込まれている。仮に契約満了以降もプレーを続けるのなら、大記録達成も不可能ではないかもしれない。ここからは、契約満了以降の年も含めた成績予測を確認してみよう。

 データを見ると、今後徐々に出場機会は減るものの、柳田は契約満了から6年先の2032年、44歳を迎えるまで1軍の戦力として成績を残す予測が出ている。今後も長いキャリアが続くと機会予測されていることからも、柳田が歴史的な大打者であることをあらためて実感させられる。

 そして注目したいのは通算成績だ。成績予測によると、契約満了以降も現役を続行した場合、柳田は2031年に大台の2000安打に到達。最終的には2029安打まで達する見込みだ。さらに本塁打の予測も確認してみると、2025~2032年の間に見込まれる本塁打数は45本。2024年時点の264本塁打と合わせると、309本塁打に達する見込みが出ている。つまり、残り2年では達成が難しい「通算2000本安打・300本塁打」も、キャリアを続けさえすれば十分射程圏内と言えるのだ。

 もちろん、ここまで紹介したデータはあくまで予測にすぎない。現役を続けられるかは年齢や故障リスクに加え、本人のモチベーションも大きく影響するだろう。それでもデータは今後数年間、柳田がホークスの中心選手として戦えることを示しており、記録面でも球史に名を刻む大台への到達を予測している。これほどの打者のキャリアがあと2年で終わりとなるのは、あまりにも惜しいように思える。キャリアの選択を最終的に決めるのは本人だが、少なくともデータは柳田悠岐という大打者のさらなる可能性を示している。

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する「1.02 Essence of Baseball」の運営、メールマガジン「1.02 Weekly Report」などを通じ野球界への提言を行っている。(https://1point02.jp/)も運営する。