大関友久と杉山一樹が互いにした謝罪 痛恨被弾のフラッシュバックと自責の夜

杉山一樹(左)、大関友久【写真:冨田成美】
杉山一樹(左)、大関友久【写真:冨田成美】

3月29日…大関が明かした杉山との会話

 苦悩する右腕に先に謝罪していた。 同級生だからこその気遣いだった。「本当に次、頑張ろうでしかない」。逆転負けを喫した開幕2戦目の翌日、大関友久投手は杉山一樹投手との会話を明かした。

 3月29日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。大関は5回3失点と試合を作ると、チームは1-3の5回に柳田悠岐外野手の逆転3ランでリードした。しかし、6回にマウンドに上がった杉山がソトに痛恨の同点被弾。大関の今季初勝利は消え、チームも延長戦で敗れた。

 杉山はその日の試合後、大関にベンチで謝罪したことを明かしていた。「同級生の勝ちを消してしまうことが多かったので。中継ぎとしてあれは一番やっちゃいけないこと」と肩を落としていた。そんな右腕に、大関がかけた言葉とは――。

「杉山も打たれて謝ってきたけど、そこはなんだろう……。試合だから、勝負事だから。もう絶対、次、頑張ろうよって感じですね。僕も含めて」

杉山一樹(中央)【写真:冨田成美】
杉山一樹(中央)【写真:冨田成美】

杉山降板前…先にしていた謝罪「すまん」

 実は杉山の登板前、先に謝罪したのは大関だった。この日、大関は4回まで無失点に抑えていたが、5回に岡に逆転3ランを浴びた。球数82球で降板。「自分も杉山が上がる前に、ここまで順調に抑えていたのに、いきなり5回で点を取られて。中継ぎとしては、心の準備はしてはいるだろうけど、『(登板が)ありそうだな』というよりは、『いきなり来た』ってタイミングになってしまったので。『すまん』ってことは言ったんです」。

 杉山はこの日の登板後、なかなか寝付けなかったという。「あの映像がフラッシュバックしている感じでした。普段はいい投球をして、そのいい状態を、次の登板まで維持してみたいなサイクルなので。悪い時は結構落ち込んでずっと引きずっちゃって……って感じです」。翌30日のロッテ戦でも捕手の防具にボールが入る暴投で失点し、敗戦投手になった。

 共に今季初登板を良い形で迎えることができなかった。チームも3連敗。悪い流れが続くからこそ、奮い立たせたかった。「僕が完璧に押さえていたって状況とも違うし、本当に次頑張ろうでしかない」。大関は杉山の気持ちを代弁した。

 同じ1997年生まれの27歳。同学年は正捕手の座を海野隆司谷川原健太両捕手らもいて、ホークスの未来を担う立場になった。「同じチームでもあり、同じ学年、同じ野球をやる身として、お互いに盛り上げていきたい。いいパフォーマンスをしたら、いい試合になれば嬉しいし。そこはお互いに常に考えているかなと思います」。

 4月2日の日本ハム戦(エスコンフィールド)でチームは敗れたものの、杉山は1回1四球無失点で抑え込んだ。ここまで1勝4敗。巻き返すには同世代の力は不可欠。共にチームを引っ張っていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)