近藤の離脱…柳町達が求められる“モノ” 2軍で打率.370、向き合い続けた“自分の立場”

柳町達【写真:川村虎大】
柳町達【写真:川村虎大】

2軍で打率.370…近藤の離脱で昇格が決定

 チャンスを待ちながら腐らずに準備を続けてきた。「やるべきことをやるだけです。上(1軍)がどういう状況でも、準備しなければいけないので」。言葉少なだったが、柳町達外野手の口調には覚悟が滲み出ていた。

 3月31日、昨季リーグMVPの近藤健介外野手は腰痛が悪化し、出場選手登録を抹消された。3連敗のチームにさらなる向かい風が吹く中、昇格が決まった柳町へ期待が高まる。昨季も開幕2軍スタートだったが、柳田悠岐外野手の負傷に伴い1軍へ。6月は打率.365を記録し、チームを支えた。

 3月終了時点で2軍では打率.370(27打数10安打)、1本塁打6打点、OPS.965と好調を維持。昇格が決まる数日前、タマスタ筑後で胸中を明かしていた。

「やっぱりスタートから出るタイプだと思うので。それこそスタミナだったり、あとはやっぱりパワーというところをもうちょいつけられたら。もっと、より良い結果に繋がるのかなと思います」

柳町達【写真:竹村岳】
柳町達【写真:竹村岳】

小久保監督からストレートに告げられた降格

 奈良原浩ヘッドコーチは柳町について、「スタメンで本領を発揮する選手だから、それなら下で多く打席に立って試合感を損なわないようにするというのも理由の一つです。それが全てではないですが」と説明していた。ここまで1軍にいる川村友斗、緒方理貢両外野手は代走や守備固めが中心となっている。柳町もその意図を理解していた。

 一方で柳田が指名打者中心の起用になる今季、チャンスがなかったわけではなかった。開幕前から左翼争いをしてきたが、オープン戦で、柳町は打率.216、0本塁打3打点。小久保裕紀監督から「結果が出ていなかったので落とす」とストレートに2軍降格を告げられた。悔しさがないわけではなかった。

 2軍では昨季に続いて好調を維持していた。「結果は出ているかなと思います」としつつ「100%ではないですけど、80%。20%が遠いのかな」と模索している現状も明かした。昨季は出場試合数こそ減少させたが、自己最多の4本塁打をマーク。1軍のレギュラーとして自らの居場所を見つけていくには、バットコントロールだけでは物足りない。

「体の方を強くしようとこの期間はやっていけたらと思います。前向きにとかではないですけど、僕のやりたいことをやれているなと思います」。開幕早々に訪れたチームのピンチ。何度も救ってきたからこそ、自らのやるべきことはわかっている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)