山川穂高の“野球向いてない”発言も…それでも「諦めない」 リチャードに起きた“変化”

山川穂高(左)とリチャード【写真:竹村岳】
山川穂高(左)とリチャード【写真:竹村岳】

オープン戦での“過激発言”に「僕も思います」

 鷹フルがお送りするリチャード内野手の単独インタビュー。第2回は“師匠”からもらった叱咤激励について。オープン戦の途中に山川穂高内野手にかけられた「多分野球向いてないから」の一言。25歳はどのように受け止めたのでしょうか。本心を明かしてくれました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 3月7日に行われたロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)。6番打者で先発したリチャードは4打席連続で空振り三振に倒れた。「ギーさん(柳田悠岐外野手)から『俺は5三振したことある』と言ってもらったりとか、色んな人が言葉をかけてくれて。少し気も楽になりました」と落ち込まずに前を向けた理由を口にした。“色んな人”には師と慕う山川も含まれていた。

「多分野球向いてないから、今までやってきた事だけやっていけばいいでしょ」。山川からの一言はトゲがありそうに見えながらも、優しさを感じさせるものだった。師匠に「変わりたい」と懇願し、今オフの自主トレから二人三脚で取り組んできたリチャード。静かな口調で受け止めを口にした。

「僕も思ったっすよ、野球向いてないなと。そこは認めつつ、でも諦めてはいないんで。向いてないかもしれないですけど、頑張っていればいつかは報われると思うので。99%向いてなかったとしても、1%の可能性はあるので」

静かなる闘志「変わってくれていると思うので」

 他の誰でもない山川からの言葉だったからこそ、すっと胸に落ちた。「山川さんはしなやかさと、機敏さがある。僕はパワーだけがあるので。多分、野球選手に向いていないんだろうなとは思いますけど、それは受け止めるしかないので」。子どものころから大好きだった野球は、仕事になった。簡単に諦めるわけにはいかない。

 そこまで覚悟を固めることができるのは、山川と過ごした日々があったからだ。「学んだことは『今日死んでも悔いのないように生きる』ということですかね」。よくある表現のようにも感じられるが、リチャードはこう続けた。

「自主トレからここまでどれだけしんどくても、休みの日でも休まずにやってきたので。きついな、めんどくさいなと思っても積極的にやってこれたのは、忍耐強くなってるなと思います。これまでなら『めっちゃきついから休んどこう』みたいに、すぐ甘えてたんですけど。どれだけきつくても痛くても、1回球場に行って考えようって。球場に来たら絶対やるんで。そういうところは忍耐っていうんですかね。修行みたいな。強くなってんなとは思います」

 山川に自主トレへの参加を願い出た際、どう変わりたいと思ったのか――。そう尋ねると、「打ちたい、打つバッターになりたかったです」とシンプルな答えが返ってきた。「変わってくれていると思うので。あとは自分を信じてやるだけです」。師匠とともに甘えなく追い込んできた成果は、きっと形となって見えるはずだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)