左翼争いは「物足りない」…若鷹は“瀬戸際” 小久保監督が明言、今後が「変わる」条件

小久保裕紀監督【写真:竹村岳】
小久保裕紀監督【写真:竹村岳】

柳田悠岐は主に指名打者起用、近藤健介は右翼にコンバート

 ソフトバンクは23日、広島とのオープン戦(マツダ)に3-1で勝利した。9勝6敗3分けという成績で終え、小久保裕紀監督は「野球はピッチャーですから。怪我人はほぼいない、いい形で来ているので。いい準備をして臨みたいですね」と開幕を見据えた。2025年型の布陣は、ずっと探し続けてきた。その中で「物足りない」と、バッサリ言い切ったポジションがある。

 今季は柳田悠岐外野手を主に指名打者として起用する方針。近藤健介外野手を右翼にコンバートして、左翼のポジションを若鷹たちに争ってもらった。昨年11月、日本シリーズの敗退と同時に、競争の“ゴング”は鳴った。開幕を前にして指揮官は「ハッキリ言って、物足りないですね。チャンスを掴んだとは思わないです」と厳しい言葉を並べた。

“柳田2世”として期待された笹川吉康外野手はオープン戦打率.208。記録した安打は5本で、長打は1本に終わった。正木智也外野手は同.192、柳町達外野手も同.216など、突き抜けた選手がいなかったのは事実だ。小久保監督は「人生をかけてレギュラーを取れるかどうかの瀬戸際だと思うので。期待はしています」と続ける。

 奈良原浩ヘッドコーチも「結局、柳田をDHで使いながら、レフトのポジションを『競争で』という表現をキャンプ前からしていましたからね。こいつ! っていうのがなかなかね。物足りない部分があったんじゃないですかね」と指揮官に同調する。「S組の選手は、もちろん実績がある。いずれにしても常に競争だと思います」。柳田、近藤に加えて山川穂高内野手、中村晃外野手、今宮健太内野手らには絶大な信頼を寄せる。太い柱がいるからこそ、イキのいい若鷹が出てきてほしい。

 今後はどうなっていくのか。当然、競争を続けてもらうしかないと、奈良原コーチは言う。

「オープン戦で悪くても修正して、シーズンに入った時に外野手からのアピールが出てくればいいでしょうし。1年間を通して競争だと思います。3月は、開幕スタメンを決めるため。開幕したら常に競争だし、数字が残らなかったらまた変わっていくでしょう。レギュラーと言われている選手も、毎年戦ってそこを勝ち取ってきたわけですから」

 相手投手の左右や、コンディションによって、左翼の起用は変わっていく見込み。名前こそ上げなかったが、奈良原コーチは「虎視眈々と狙っている選手もいる」と、期待を隠さない表情だった。ファームも含めれば、左翼の出場経験がある選手は少なくない。この日の「レフト柳田、DH中村晃」という布陣は、オープン戦を通しては初めての形だった。首脳陣にとっても、最善を探す日々が続く。

「オープン戦に限らず、競争に勝ち抜いた選手だけが試合でパフォーマンスを出せる。あくまでも、ここがゴールではない。今こっち(1軍)にいない選手にだって必ずチャンスはあります」と奈良原コーチは話した。開幕は通過点であり、最終的な目標は日本一。チームの悲願を叶えるため、選手1人1人に成長してもらうために。とことんまで「レフト」を争ってほしい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)