金沢学院大から2021年ドラフト6位で日本ハムに入団し、2年間で通算11試合に登板。2023年オフの現役ドラフトでホークスに指名され、福岡にやってきた。昨シーズンは32試合に登板して4勝0敗、防御率2.49。変則のサイドスローという特徴を生かし、ブルペンに欠かせない存在としてリーグ優勝に貢献。そんな左腕が、手術に臨む前の心境を明かしていた。
「怪我した時はもうご飯を食べるのもきつかったです。お箸を持つことも」
左肘に違和感を抱いたのは今年1月の自主トレ中。異変があったのは別の箇所だったが、原因は靭帯にあった。「それまでしっかりいい球も投げられていたんですけどね。そこでバチってなっちゃって、腫れも出ました」。以降はほぼノースローでの調整。決断に時間はかからず、気持ちは自然と手術に傾いていった。
「今回いろんな要因で(傷ついたのは)靭帯そのものではないですけど。遊離体っていって、肘がロックするような状態になって。それが結局、靭帯が原因でそうなっているような感じだったので。クリーニング手術も選択肢にはありましたけど、靭帯が緩かったら、また繰り返すことにはなるんで。(復帰まで)1年はかかるので、結構慎重に考えました」
大卒4年目の今シーズン。昨季の手応えも踏まえて、左腕なりに自身も抱いていた。「今年がチャンスだったと思うんですよ。特に自分は左(投げ)ですから」。変則のサイドスローという長谷川にしかない武器は、自身の中でも明確に認識していた。だからこそ、小さく漏らした。「もったいないですよね……」。シーズンに向けて備えた結果だとしても、不甲斐なさは隠せなかった。
長谷川のことを可愛がる津森宥紀投手は、一報を聞いた時の驚きを明かした。「兄貴、トミージョンするかもしれないです」――。そう連絡を受けると、「無理したんか?」と後輩を気遣った。持ち前のキャラクターで、リハビリ組でも明るく振る舞っていた左腕だが、内心では当然不安な気持ちを抱えていた。
「僕もいろいろと考えて、やるなら今しかないかなって。クリーニング手術をしても、もし状態が上がらなかったら……。1年間2軍だとして、じゃあオフにトミー・ジョンしますってなったら、2年間を棒に振ることになるので」
選手生命に対しても不安は募る。花咲徳栄高時代の同級生でもある中日の清水達也投手にも相談した。「『去年(1軍で)投げているから、今年手術したからってクビになるとかは、あまりないんじゃない?』みたいな。そういう話もしました」と、今後のキャリアに対する不安もこぼしていた。
これから先は、辛く長いリハビリ生活を送ることになる。復帰までには1年以上を要することになるだろう。25歳・長谷川の決断が正しい選択になるように――。再びマウンドで腕を振る姿を心待ちにしている。