熾烈な開幕ローテ争い…残り2枠で「絶対に誰かが落ちる」 勝負の1週間、当事者の“本音”

東浜巨、松本晴、前田純【写真:冨田成美】
東浜巨、松本晴、前田純【写真:冨田成美】

倉野コーチが「差がつく」と話す1週間…当事者が明かした心境

 開幕まで20日を切り、いよいよ先発ローテーション争いも佳境を迎えている。8日には小久保裕紀監督が上沢直之投手の当確を明言し、残る椅子は2つ。少ない枠を求めて、ベテランから若手までがアピールを続けている。

 開幕投手に指名されている有原航平投手を筆頭に小久保監督はリバン・モイネロ投手、大関友久投手、上沢のローテ入りを明言している。10日の練習では、東浜巨投手、前田純投手、松本晴投手、伊藤優輔投手、大津亮介投手らが汗を流していた。

 倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は10日の投手練習終了後、「今週は1軍戦も2軍戦も、開幕争いという意味ではかなり重要になってくると思います」と話していた。1週間のサバイバル。争いの渦中にいる選手たちの本音は――。

 東浜は9日のロッテ戦(ZOZOマリン)で4回3安打1失点と好投した。「比較的ボールを操れていると思います」。絶好調とまではいかないが、順調に来ている手応えはある。最速148キロをマークし、シンカーも冴えた。「イメージできているものと、もう少し自分のイメージが違うかなといったボールもある。ただ、その差はだんだん減ってきています」と頷く。

 プロ13年目のシーズンを迎え、又吉克樹投手と並び投手最年長になった。2017年に最多勝、2022年にノーヒットノーランを達成した右腕も2022年は6勝、昨季は11登板3勝2敗、防御率3.38に終わった。毎年他球団から選手が加入し、若手も続々台頭する。そんな中、自らと向き合うことに集中する。

「誰が来ても一緒。毎年のことですけど、いい選手がどんどん入ってくるのはプロ野球界としては当然のことですし。すごく当たり前のことだと思うので意識はしていないです。結局、自分のできることしかコントロールできないので。自分のできる最大限を1日1日やることだけを意識しています」

 冷静に自らを見つめる東浜とは対照的に、勢いがあるのは松本晴だ。「キャンプからアピールすることをイメージしてオフシーズンから取り組んできて。そこは順調にきています」と自信をのぞかせる。12日の2軍くふうハヤテ戦(タマスタ筑後)は調整ではなく、“本番”を想定し登板。「絶対に誰かが投げて誰かが落ちますし。(ローテーションで)投げるのは自分でありたい」と思いを滲ませる。

 松本晴と“同期”の前田純も4日の本拠地・ヤクルト戦で3回を無安打無四球5奪三振の快投を披露。アピールに成功している。「先発ローテーションの熾烈な争いの中で、気負ってしまう部分はあると思うんですけど、そこは割り切って」。“自分のスタイル”で勝負する。

 大津も野球日本代表「侍ジャパン」では2回無失点の好投を披露し、伊藤への期待値も高い。“お試し期間”だった春季キャンプも終了。倉野コーチが「差がつく可能性が高い」と話した勝負の1週間が始まった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)