近藤健介の打順はどうなる? 512日ぶりの3番…小久保監督が“欲しがる”要素とは

ヤクルト戦に3番で出場した近藤健介【写真:冨田成美】
ヤクルト戦に3番で出場した近藤健介【写真:冨田成美】

レギュラーシーズンでは2023年10月9日以来の3番起用…

 スタメン発表から、変化が見られた。昨年との圧倒的な違いは、選択肢の多さだ。ソフトバンクは4日、ヤクルトとのオープン戦(みずほPayPayドーム)に3-4で敗戦した。春季キャンプではS組として調整を行っていた主力級が出場した中、3番に入ったのが近藤健介外野手だった。

「3番・右翼」で名前を呼ばれ、グラウンドへ飛び出した。初回2死では初球に手を出して遊飛。4回無死ではタイミングを崩されて空振り三振となった。守備では、強肩を披露。初回2死一、二塁から茂木の打球は右前へ。近藤は猛チャージをかけ三塁に送球し、3つ目のアウトを奪い取った。守備に就いたのも、昨年9月15日のオリックス戦(京セラドーム)以来。翌16日に右足首を捻挫して戦線離脱した。オフシーズンを経て、万全の状態で帰ってきた。

 レギュラーシーズンでいえば、3番は2023年10月9日のオリックス戦(京セラドーム)以来、512日ぶりだった。昨年は129試合に出場して打率.314、19本塁打、72打点。出場した全ての試合で務めたのが5番で「難しさというか、なんとか欲を抑えようと考えていました」とも語っていた。現役“最強打者”と呼び声高い背番号3。今年は一体、何番を打つのか。奈良原浩ヘッドコーチと村上隆行打撃コーチを直撃した。

「今年はもう監督が『ライトでいく』と言っているので、ポジションはそうだと思います。打順に関しては、公式戦になった時にどこに据えるのが一番いいのか。監督が最終決定するための、引き出しを提案できるように。コンちゃんも今回は3番、次は5番、2番に入れますってなっていった時に、最終的に監督が『何番がしっくりくるね』ってなれたら。そのために今動かしている感じです。山川の4番は基本、あまり動かさないと思いますので」

 まずは奈良原コーチが明かした。まだオープン戦。当然、シーズンに向けて試していく段階であることは誰よりも理解している。3月28日の開幕までに、最善の打順を模索していくつもりだ。「ギータが今日は2番だったけど、3番に入ったり、今度は5番になる可能性もある。あくまでも公式戦になった時に、一番しっくりくるように」。昨年は長期離脱を味わってしまった柳田も、万全の調整をしてくれた。残り15試合は、首脳陣にとっても試行錯誤だ。

 リーグ優勝を掴んだ2024年、山川は全143試合に4番として出場。“山川の後ろ”を重要視するほど、近藤を置くことにこだわっていった。「逆に言うとクリが去年くらいの成績を残してくれたら、クリが5番でも、というのはあります。コンちゃんを3番に置けば初回に回ってくるわけですから、それもアリですし。もしかしたら、“後ろ”が心もとなかったら、去年みたいになるかもしれない」。名前を挙げたのが、この日も5番に入った栗原陵矢内野手だった。

 昨シーズンは140試合に出場して20本塁打を記録。5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)で柳田が離脱して以降も、3番に座りクリーンアップを務めた。村上コーチも「クリが成長、独り立ちしていると僕は思っています。そこ(5番)に入れてみて、どうなるかというところですよね。監督も『選択肢がほしい』と言っていますし、近藤ともタイプが違うので、また別の攻撃のパターンが作れるんじゃないか」と説明する。確かに言えるのは、2024年とは状況が違うということだ。

「山川は今年(移籍)2年目じゃないですか。去年は1年目で『やらなきゃいけない』っていうのもあったと思うんです。その後ろにコンちゃんがいることで、楽になるものが出るだろうなっていう考えでした。コンちゃんは責任感もあるし、(ランナーの)“掃除”もできますから。それがベストなのかどうかも、今年は試していきたいです。いろんな攻撃パターンの選択肢ができるように打順を組んでいきたいです」

 笹川吉康外野手も急成長を見せた。昨季7本塁打を放った正木智也外野手もいる。奈良原コーチも「佑京は手術したばかりで、フルで出るにはもう少し時間がかかる。その間、センターをどうするか。今日で言えば近藤が2打席で代わったから、正木や柳町(達外野手)が後からいっても、うまくいけば3打席回る。そういう意味でも、しばらくは動かしながら。誰が一番ハマるのか」と語った。首脳陣が嬉しい悲鳴をあげるほど、若鷹が熱い競争をしているのは間違いない。

 近藤が「(違和感は)なかったですし、今日はスイングを入れていこうと思っていました」と言えば、栗原は「僕は立場が違いますから」と謙遜しながら足元を見つめた。それぞれがかけがえのないピースになること。最善策を探す3月になる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)