「自分が今後野球をやる上でずっとやっていきたいことなので、そこは変わらないです」
どこまでも通る声がグラウンドには常に飛び交っていた。栗原が大事にするのは“声”を出し続けること。チームを鼓舞する姿勢を貫きたいと話す。小久保裕紀監督は「声を出すのはある意味、ホークスの伝統でもある。それも王イズムですから。評価に値するということは伝えました」と選手に考えをぶつけている。
「自分がまず声を出すことが一番なので。僕から後輩に言うことはないです」
若手選手は率先して声を出し、首脳陣にアピールしていかなければならない。だが、中堅やベテラン選手が大きな声を出すことは、レギュラーを渡さないという意思表示でもある。“自分の城”を守るための行動の1つが声を出すということだ。
3割30本という目標を小久保監督から提示されている中で、アーリーワークなどにも積極的に参加し、日々打ち込む姿を見せた。それでも、「例年に比べたら少ないと思います。もっともっと結果を残すためには、これから上げていかないといけないかなと思います」と、現状に満足することなく、更なる高みを目指す。
やりたいことはいくらやっても足りないという向上心。自身の調子や成績に影響されることはなく、グラウンドでは誰よりも声を出す。春季キャンプでは多くの首脳陣から声を出すことの重要性と、それがアピールに繋がるという発言が多く聞かれたが、「声で目立つことは大事です。それはずっと続けます」。栗原にとっては至極当然のことだ。見習わなければならないのはそんな姿なのではないだろうか。選手たちが福岡へと戻ったあとのアイビースタジアムの静けさからは、寂しさを感じた。