「後輩に言うことはない」栗原陵矢が貫く姿勢 小久保監督が求める“王イズム”

練習中に大きな声を出す栗原陵矢【写真:冨田成美】
練習中に大きな声を出す栗原陵矢【写真:冨田成美】

キャンプを振り返り…「例年に比べたら少ない」

 飽くなき向上心は今季も揺らぐことはない。栗原陵矢内野手は春季キャンプを振り返り「やりたいことって毎日増えていくんで、その日その日のやりたいことはやれていましたね」と充実感を滲ませた。

 今キャンプからチームはS組を導入。栗原はA組でのスタートだったが、2月15日から柳田悠岐外野手や山川穂高内野手らが合流した後も、いつもの姿を貫いた。「S組がいてもいなくても変わらないことなので」。こう語る栗原が今後も継続していきたい事と、その重要性について、言葉を選びつつ明かしてくれた。

「自分が今後野球をやる上でずっとやっていきたいことなので、そこは変わらないです」

 どこまでも通る声がグラウンドには常に飛び交っていた。栗原が大事にするのは“声”を出し続けること。チームを鼓舞する姿勢を貫きたいと話す。小久保裕紀監督は「声を出すのはある意味、ホークスの伝統でもある。それも王イズムですから。評価に値するということは伝えました」と選手に考えをぶつけている。

「自分がまず声を出すことが一番なので。僕から後輩に言うことはないです」

 若手選手は率先して声を出し、首脳陣にアピールしていかなければならない。だが、中堅やベテラン選手が大きな声を出すことは、レギュラーを渡さないという意思表示でもある。“自分の城”を守るための行動の1つが声を出すということだ。

 3割30本という目標を小久保監督から提示されている中で、アーリーワークなどにも積極的に参加し、日々打ち込む姿を見せた。それでも、「例年に比べたら少ないと思います。もっともっと結果を残すためには、これから上げていかないといけないかなと思います」と、現状に満足することなく、更なる高みを目指す。

 やりたいことはいくらやっても足りないという向上心。自身の調子や成績に影響されることはなく、グラウンドでは誰よりも声を出す。春季キャンプでは多くの首脳陣から声を出すことの重要性と、それがアピールに繋がるという発言が多く聞かれたが、「声で目立つことは大事です。それはずっと続けます」。栗原にとっては至極当然のことだ。見習わなければならないのはそんな姿なのではないだろうか。選手たちが福岡へと戻ったあとのアイビースタジアムの静けさからは、寂しさを感じた。

(飯田航平 / Kohei Iida)