リーグ連覇と日本一に向け、鍛錬を積んでいるホークスナイン。今キャンプは新加入した上沢直之投手や浜口遥大投手、伊藤優輔投手をはじめ、巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手の後を継ぐ正捕手争いに大きな注目が集まっている。そんな中、例年以上に静かな日々を送っているのが柳町達外野手と正木智也外野手だ。
「確かに記者の方から話を聞かれることはあまりなくなりましたね」。そう認める2人だが、外野の「1枠」を巡る争いもし烈だ。中堅は選手会長の周東佑京内野手、右翼は今季からコンバートする近藤健介外野手がほぼ確定。左翼には柳田悠岐外野手が回るが、小久保裕紀監督はDH起用を軸に考えており、空きポジションといえる状況だ。“取材激減”の現状をどう捉えているのか。慶応コンビに聞いた。
「僕の性格に合ったキャンプになっているかなと思います。静かにやっている方が僕らしいなと。ですけど、自分のやりたいことは順調に進んでいるし、ちゃんと集中できている感じはあるなと思います」
そう口にしたのは柳町だった。外野をめぐっては後輩の正木をはじめ、笹川吉康外野手や川村友斗外野手、佐藤直樹外野手、緒方理貢外野手と定位置を狙う若手がひしめいている。22日からは対外試合がスタートし、サバイバルが本格的に開始したが、柳町は平常心を強調する。
「他の選手のことはあまり気にならなくなりましたね。みんなすごいっていうのはわかっているので。自分がしっかり結果を出すということが一番ですね」。そう言い切れるのは、昨年の経験があるからだ。「どんな状況に置かれても、気持ちを切らさないことが一番だと思いましたね」。昨季は開幕を2軍で迎え、好結果を残しながらも5月末まで1軍に上がることはできなかった。
「今年はやっぱり違いますね。去年は監督も1年目でしたし、首脳陣も入れ替えのタイミングだったので。やっぱり頑張らなきゃいけないという気持ちはありましたけど。今年ももちろん頑張るのは変わらないんですけど、ある程度能力は知ってもらっていると思うので。あとは実戦に向けてしっかりとやっていくしかないのかなと」。言葉から確かな自信が伝わってくる。
正木も着々を前を見据えている。「取材はなかなかないですけど、野球を頑張るだけかなと。寂しさ? ないですよ」と笑いながら、現状への満足感を語った。「キャンプが始まる前に自分の課題ややるべきことはちゃんと見つめてきたので。それを淡々とやっている感じです」。
昨春キャンプとは立場も明確に違う。「去年はB組だったので色んな思いはありましたけど。今年はやるだけなので。対外試合も始まるので頑張るだけです。厳しい争いなのは間違いないですけど、結果にこだわってやるだけかな。一喜一憂せず、自分の信じたことをやるだけかなと思いますね」
昨年は「慶応3兄弟」として注目を浴びたが、今キャンプは静かに淡々と準備を進めている2人。シーズンが始まってからは多くの視線を集めてみせる——。その自信があるからこそ、焦ることは何もない。