右足首捻挫から1か月で復帰も…小久保監督が懸念した「長谷川さんの事例」
鷹フルがお送りする近藤健介外野手のインタビュー。ラストとなる第4回のテーマは、昨シーズン終盤に負った右足首捻挫の“真相”についてです。受傷からちょうど1か月後のクライマックスシリーズ(CS)で復帰し、日本シリーズでは左翼守備にも就いた近藤選手でしたが、当初伝えられていた全治期間は「3か月」でした――。
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9月16日のオリックス戦(京セラドーム)でショッキングな光景が広がった。二盗を試みた近藤は右足首を手で押さえながら、二塁ベース付近で悶絶。途中交代し、その後に受診した病院では捻挫と診断された。ここまで全試合出場をつづけながらも、無念の登録抹消。リーグ優勝を決めた23日の同戦は松葉杖姿で優勝の輪に加わった。
懸命のリハビリを続け、1か月後の10月16日。日本ハムとのCSファイナルステージで実戦復帰した近藤は、その後の日本シリーズでは左翼守備に就くなど、脅威の回復力を見せたと思われていた。現在、鹿児島・徳之島で独自調整を続けている中で明かしたのは壮絶な“真実”だった。
「足首をやった時は『大丈夫かな』と思ったんですけど。病院に行ったら3か月って言われたので。『それはないでしょ、先生』みたいな。『クライマックス始まりますよ』って。それでなんとか話して1か月で(復帰)ってなりました。先生的には後遺症というか、(右足首に)違和感や緩さが残ったままやると、バネとか機能が低下しちゃうから怖いっていうのは言ってましたけど。そこは僕の判断でした」
選手生命を縮めるリスクは確実に存在していた。それでも、近藤はチームのために再びグラウンドに戻った。
「本当に無理なら(ポストシーズンに)出られないとなっていましたけど。やっていくうちに、ある程度はいけそうだなと。(小久保裕紀)監督も長谷川(勇也)さんのことを例に出して、『本当に後に響くのは良くないから、ちゃんと判断してくれ。お前がやるっていうなら止めないよ』と言ってもらいました。そこはちゃんと自分で判断してくれと。そういう話があって、やるってなりました」
小久保監督が口にしたのは、現在R&Dグループスキルコーチ(打撃)を務める長谷川勇也さんの例だった。2014年に右足首を痛めて以降は常に痛みに悩まされ、現役引退を余儀なくされた。癖になりやすく、選手生命に直結する恐ろしい箇所だからこそ、慎重な判断を求めた。
CSファイナルに向け、毎日痛み止めを飲んだ。厳重なテーピングも欠かさなかった。それでも、やはり現実はシビアだった。「本当は日本シリーズで初戦から守れそうだったんですけど。CSで3試合出て、もう全然ダメになって。もう歩くのも痛くなっちゃったので。2戦目までは代打で、ホームはDHだったんですけど。6戦目は守りましたけど、終わってからも痛かったですね。それが長かったので……」。
今キャンプではS組に選ばれ、15日の合流まで独自調整を認められた。首脳陣の配慮は、近藤にとって大きなものだった。「でかいですね。やっぱり3か月が過ぎてからも痛みや違和感はあったので。合流までにはなんとか100%で、と思っているので。そこは本当にいい時間になっているかなと思います」。
自身の将来よりも優先したチームの日本一は惜しくも届かなかった。それでもこの決断に悔いはない。今季こそ怪我なく全試合に出場し、今度こそ頂点へ——。近藤の2025年にかける思いは、誰よりも強い。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)