谷川原健太に訪れた“奇跡” 溢れた涙の理由は「妻の頑張り」…第1子誕生の舞台裏

第1子出産に立ち会った谷川原健太【写真:本人提供】
第1子出産に立ち会った谷川原健太【写真:本人提供】

12月31日に第1子となる男児が誕生…自身のインスタグラムでファンへ報告

 勝負のシーズンを前に、底知れぬ力が湧いてきた。谷川原健太捕手は昨年12月31日に第1子となる男児が誕生したことを自身のインスタグラムで発表した。「新しい家族が増えました! 母子ともに健康です。立ち会うこともできました! 本当に妻には感謝しかありません。息子とともに成長します! 家族のためにも飛躍を!」。ファンに向けて報告し、プロ10年目に向けて誓いを込めた。

 出産に立ち会うことができ安堵していたが、これはまさに奇跡的だった。本人が舞台裏を明かす。

「予定日は1月16日とかだったので、自主トレ中だから行けない可能性もあったんです。だけど、早く生まれてきてくれたおかげで立ち会えましたし、本当によかったです」と笑みを浮かべた。結果的に、予定日より2週間以上も早く誕生したのは、愛息から届いた最初の“親孝行”だったのかもしれない。2度とない瞬間を目の当たりにしたことで、より一層大きな力が湧いてきた。

 生まれてきた時には、思わず「涙が出てきました」と、自然と光るものが頬を伝った。「赤ちゃんが生まれたことというより、妻がすごく頑張ってくれていたので、その姿を見てとても感動しました」。愛妻への思いが涙となって溢れた瞬間だった。自分を父親にしてくれたことに、心から感謝した。

 年が明けると、シーズンに向けて自主トレを開始した。大牟田市で、単身で過ごす日々。「父親になりましたけど、やっぱり毎日会っていないので不思議な感じもあります。今はたまにしか会えないけど、会うと実感しますし、すごく幸せな気持ちになりますね」と目尻を下げる。オフの日には、すぐに妻子のもとに足を運んだ。「やっぱり力をもらえますし、『この子のために……』とかすごく思いますね」と語るのは、立派な“父親の顔”だ。

 27歳で第1子を授かったことで、改めて込み上げてくるのは両親への感謝。「過保護になる気持ちもわかりますし、親の偉大さを今とても感じています」と言う。地元・愛知を離れ、プロ10年目。いつもSNSで情報を探し、時には球場に足を運んでくれる家族の気持ちはしっかりと伝わっている。「ずっと応援してくれていますね」。自分自身が受け取ってきた愛情を再認識するとともに、「いろいろ子どもの将来のことを考えると、なんかやっぱり心配ですね」と、早くも息子の“未来”を思い描いて、気を揉んでいた。

 子どもの名前は「生まれるめちゃくちゃ前から妻と話していて、候補を挙げたりしていました」という仲良し夫婦。2人の意見は割れることもなく、概ね一致していたという。「透き通った広い心を持って、大きく育ってほしいという思いを込めました」と愛息への思いを語ってくれた。

「10年目は節目の年ですし、そこに大チャンスが来たので、本当にここを掴んでやるぞっていう強い気持ちが1番あります」と意気込む。“正捕手候補”の言葉からは、決意だけが溢れる。そんな中、愛息の話題になると表情は一変し、優しい笑みがこぼれていた。勝負のシーズンを前に誕生した大切な存在。大きな幸せを力に変えて「自分が次の正捕手を取ります」と強く誓った。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)