来年37歳、柳田悠岐が徹底する食事 若手時代は「寝んでもいける」も…心身に“変化”

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】

自分自身の少年時代を振り返り「素振りとかコツコツ練習していましたよ」

 あっけらかんと“反省”を口にするのがギータ流だ。「若い時なんかは野球のことを考えていなかったです。ほんまに、ほんまに」。プロ15年目を迎える来季、10月には37歳を迎える柳田悠岐外野手は現在、どんなオフを過ごしているのか。

 11月30日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われた「ベースボールキッズ2024」に参加した。「素晴らしい子どもたちがたくさんいました」と、笑顔で少年少女と触れ合った。自身が野球少年だった頃は「コツコツ練習していましたよ。壁当てとか、素振りとか。晩御飯の後にやっていました。その時は努力と思っていなかったですけどね。楽しくてやっていました」。白球に没頭し、打ち込んできた全てが今にも繋がっている。

 オフシーズンとなった今、重点を置いているのがトレーニングだという。「大会に出るレベルでバキバキにしたいです」。おどけたような表現にも聞こえるが、36歳の柳田が目指す“進化”への思いが現れた言葉だった。

「(若いころは)野球のことを考えていなかったです。睡眠時間も短かったね。ほんまにそんなんやったし(笑)。寝んでもいけると思っていた」。若さゆえの“無茶”が許される時期もあった。だが、今は違う。「でも、それじゃダメなので」。5月31日に右ハムストリングを痛め、約4か月の離脱を強いられた。グラウンドに立つには技術だけではなく、フィジカル面での徹底した準備が必要なことは、誰よりも理解している。

 6月からリハビリ組に移行して、トレーニングに“目覚めた”。「ほんまにやることなかったので。とりあえずバキバキになろうと思って」。下半身の怪我だったため、消化可能なメニューが限られていたのも事実。そんな中で、自分を見つめ直す期間にもなった。日々のトレーニングでチームメートも驚くほど筋骨隆々になっていった。この日に行われたベースボールキッズ。子どもたちに「酒は意味ない。水か、プロテイン」と笑ってアドバイスしたのも、本音だったはずだ。

 今年の8月、柳田と同じ時期にリハビリ組だった仲田慶介内野手(現西武)は、こんな証言をしていた。

「食事は、特に気をつけられているんだなと感じました。『絶対に脂肪はつけない方がパフォーマンスが上がる』とか、めちゃくちゃ気をつけていました。揚げ物とかも絶対に食べないし、夜は炭水化物も食べない。朝と昼は魚を食べたりとか。そこまで考えて、徹底してやっているんだなって。僕ももっとやらないといけないなと思いました」

 柳田を担当していた有馬大智リハビリアスレチックトレーナーと、3人で焼肉に行ったことがあったという仲田。「そのお店は塩おにぎりが有名なので、それは(柳田さんも)食べていたんですけど、(それ以外には)ご飯も本当に食べていなかったです。めちゃくちゃ普段から気にされていることが、実際に見てわかりました」と振り返る。天真爛漫で、自由奔放。誰もがそんなイメージを柳田に抱いているだろう。一方で、プロ野球選手として徹底した準備を繰り返していることも事実だ。

「日本シリーズの時には本当に仕上がっていたんですけど、最近、腹筋の割れ具合もダメ。オフになってちょっと太りました。トレーニングは順調なので、食べるものですね」と現状を明かした柳田。家族との時間が増える中でも、ほぼ毎日、愛妻とランチをともにしているという。「やっぱりいいものを食べないといけないですから。僕がチョイスして『今日はこれ』って感じです」。口にするもの全てが、野球のためだ。

「(鍛えるのは)全身です。プレーに直結するのは足なので。足のトレーニングもしっかりやる。下半身をやらないと体脂肪も落ちないので。しっかりと追い込みたいです。下半身をトレーニングするための上半身、みたいなイメージです」

 現役を引退した和田毅氏に代わって、来季からはチーム最年長となる。43歳の和田氏も、年齢を重ねるごとに「野球のことを考えるようになったし、休む時間も短くなった」と話していた。柳田も同調しつつ、「やっぱり好きじゃないと続けられないですからね。(子どもたちにも野球を)好きになってほしいです」と微笑んだ。1年でも長く――。柳田の行動からは思いがあふれ出ている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)