共通の知人による紹介で2人は出会った。相手女性の優しく、頼もしい一面に惹かれ、渡邉陸から交際を申し込んだという。「元気で、面白くて。一緒にいて、ストレスもないですし。気を遣うこともないです。野球に集中できると思いましたし、そういうところがきっかけでした」と、気持ちは自然と結婚に傾いていった。
思い出の旅行は、熊本の阿蘇だという。食の好みも似ている2人。「馬刺しが好きなので。(妻も)お酒が飲めるし。シーズンが終わって地元に行った時に、馬刺しを食べると幸福を感じます」。昨年12月、プロポーズも阿蘇の旅館だった。108本のバラとともに「結婚してください」。シンプルな言葉で気持ちを伝え、2人は結ばれた。
年が明け、2024年に入籍した。今シーズンは妻と過ごし、支えてもらっていた。「僕の打席は毎回見てくれている。2軍の試合でもホークスTVとかで見てくれていて、ヒットを打ったらLINEでスタンプがきますね」と笑みを浮かべる。「家ではあまり野球の話はしないです。僕もあまり、したくないタイプなので。踏み込んだ話はしないです」というのも、妻が自分の状況をわかっているから。日々の姿を見てくれていると知っているから、言葉よりも結果で示そうとしてきた。
渡邉陸の母・桃子さんは2023年9月に急逝した。自身は今年に入籍し、大切なパートナーと人生を歩むことになった。妻と一緒に熊本へ足を運んだ7月の連休。母の遺骨が納められている場所を訪れ、「『結婚します』と。喜んでくれていると思いますけどね」と“報告”した。母と妻は顔を合わせたことがない。「会わせたかったですね」と空を見上げる。福岡の自宅、リビングには母の写真が飾られており、妻と一緒に日々手を合わせている。
実家にも妻を案内したことがある。対面した時の父のリアクションについて、「僕の家、女性の“家系”じゃないというか、男ばかりなんです。お父さんの兄弟も、従兄弟も全員男なので、嬉しいんじゃないですかね。会わせた時は(父は)恥ずかしそうでしたけど」と、照れ笑いをしていたそうだ。24歳の息子が連れてきた大切な人だから、“両親”にとっても最高の幸せだったに違いない。
2022年に3本塁打を記録したが、ここ2年は1軍出場がない。背番号も79から00に変更となる2025年。「(妻は)去年から僕が活躍していないことも知っているので。結婚して、活躍できなかったと思われるのも嫌ですし、来年は絶対に活躍したいです」。自分にできるのは、プロ野球選手として努力し、結果を残すことだけ。大切な家族のために、笑って生きていくことだ。