和田毅が22年目で挑む“初職場”… ポストシーズンへプライド封印「打者1人でも貢献したい」

ソフトバンク・和田毅(中央)【写真:長濱幸治】
ソフトバンク・和田毅(中央)【写真:長濱幸治】

21日の2軍戦で“プロ初セーブ”「記念すべきですね」

 プロ22年目の大ベテラン、和田毅投手でも初めての体験だった。21日のウエスタン・リーグくふうハヤテ戦。1点リードの9回、マウンドに上がると、最速145キロの直球を軸に1イニングを無失点と貫禄の投球を披露した。“プロ初セーブ”をマークした左腕は、若手の輪に入って満面の笑みを浮かべた。

「1軍はもちろん、ファームでも(セーブは)初めてだったので。記念すべきですね」。。4年ぶりのリーグ優勝が目前の1軍と同じく、2軍も2位・中日とゲーム差なしの首位と、激しい優勝争いの真っ只中だ。「本当にチームが逆転してくれて、アドレナリンが出ましたね、やっぱり。2軍も優勝争いをしていますし、何とか1イニング抑えようと思って投げたので。それ(起用)に応えることができて本当にホッとしてます」と胸をなでおろした。

 NPB通算331試合登板のうち、325試合で先発している左腕だが、チームのために新たな役割を快諾した。残りわずかとなったレギュラーシーズン、そしてポストシーズンに向けての“中継ぎ転向”だ。まっさらなマウンドに強いこだわりを持つ和田の決意は極めてシンプルだった。

「チームは日本一に向けて一生懸命戦っているところですし、(打者)1人でも貢献できるような位置に自分が立つことができるのであれば、それはすごくうれしいことなので」

 今季は5試合に先発して2勝2敗、防御率4.01と納得いく数字を残せていない。7月5日の楽天戦を最後に1軍登板はなく、コンディション不良もあってファームでの調整を続けてきた。4年ぶりの歓喜に向け、何とかチームの力になりたい——。その一心で腕を振っている。

ソフトバンク・和田毅【写真:長濱幸治】
ソフトバンク・和田毅【写真:長濱幸治】

「今年はもう先発で調整する時間もない。倉野さんと相談させてもらって、今は中(継ぎ)で。欲してもらっている場所で投げられればと思ったので。今まで経験したことがないことを、この年になってやらせてもらって。自分にとってもすごくプラスになっていますね」。目線は完全に1軍に向いている。

 倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)も、改めてベテラン左腕への期待を口にした。「ポストシーズンに向けて、どういう役割ではまってくれるか。いろんな可能性を探っている中の1つですね、和田のリリーフっていうのは。オプションの1つとして、そういう手は少しでも多く持っておきたいので。そのために本人も頑張ってくれている」。

 想定する起用法はショートリリーフだといい、倉野コーチは「ファームでそういう準備ができたという報告があれば。もちろん僕らも映像とか数字も見ながら(いけるという)評価ができれば、当然その可能性はあります」と説明した。

 4年ぶりの歓喜に向け、一丸で戦っているチームメートの姿を見れば、先発投手としての強いプライドは関係ない。「どんな形でもチームのために貢献できればいい。来年以降のことを考える余裕はないので。本当にそれだけです」。43歳のベテランが1軍に戻ってくれば、より結束感は強まるはずだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)