小久保監督も絶賛の安定感 東浜巨が見せる変化…明らかに違う“真っ直ぐの質”

ソフトバンク・東浜巨【写真:竹村岳】
ソフトバンク・東浜巨【写真:竹村岳】

オープン戦3試合、15回1/3を投げて、いまだに無失点

 危なげのない投球だった。20日に本拠地PayPayドームで行われた阪神とのオープン戦。ソフトバンクの先発マウンドに上がった東浜巨投手は7回途中まで投げて4安打無失点と好投した。これでオープン戦3試合、15回1/3を投げて失点ゼロと抜群の安定感を誇っており、小久保裕紀監督も「言うことないでしょ」と賛辞を惜しまなかった。

 初回をわずか9球で3者凡退。初回2死から2回まで4者連続三振を奪った。3回まではパーフェクト。4回2死から森下に中前打を浴びたものの、最後まで点は許さなかった。「序盤の3イニングが全てだったかなと思いますし、そこでしっかり流れ、リズムを作れたのが良かったかなと思います」。東浜自身も納得の86球だった。

 開幕ローテを確定させている右腕へ、首脳陣の信頼は厚くなっている。小久保監督は「今は多分、ローテーションのメンバーの中で1番安定している。大関もいいですけど、なんの心配もしていないです」と言い、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)も「本当に、かなりいい状態が続いている」と目を細めていた。

 3試合連続無失点。好投が続く要因の1つはは真っ直ぐの質にある。この日も球速は安定して140キロ台後半をマーク。阪神打線に捉えさせず「1番は真っ直ぐの出力のところ。僕のピッチングの基準になってくる。そこのベースの底上げっていうところをテーマとしてやってきたので、それが今のところ結果として出ていますし、感覚としても良くなってきています。あくまでオープン戦なので、半分ぐらいしか信じてないですけど、その中でも反応だったり、ファウルの方向だったり、ファウルの仕方だったり、そういったものを見ながら、自分の中で分析できている」と手応えを口にする。

 真っ直ぐの質は昨季の苦戦の要因だった。「去年も頑張ってゾーン内に投げてたんですけど、あまりにも被安打が多かった」。その課題はデータにも現れている。セイバーメトリクスの指標などを用いて分析を行う株式会社DELTAのデータによると、球種ごとの失点増減を示すピッチバリューにおいて、昨季の東浜の真っ直ぐを示す「wFA」は「0.5」しかない。チームの先発投手で80イニング以上投げた投手の中で東浜が最も低く、前オリックスでドジャースに移籍した山本由伸投手の「21.8」とは20点以上の開きがあった。

 このオフは真っ直ぐの出力を取り戻すことに主眼を置いて、試行錯誤を重ねた。取り組みの詳細については「企業秘密です」と伏せたものの、「基本に戻って、計画を立てて、しっかりデータも出していきながら、体力面とハード面とソフト面と両方をしっかり見直した」という。その成果がオープン戦ではっきりと現れている。

 この日は初球からどんどんゾーン内へとボールを投げ込んでいった。「前回の反省を踏まえて、球数がどうしてもかさんでしまったんで、どういう状況、どういうバッターでも、よっぽどのことがない限りは全部ゾーン内で3球勝負でっていうのを試合前に(甲斐)拓也と話をしていた。1イニングで1、2球ボールを減らそうと意識しながら投げていた」。この意識も去年の反省から導き出した復活への鍵だった。

 東浜の昨季ゾーン内にボールを投じた割合「ZONE%」は「43.9%」と、パ・リーグで50イニング以上投げた49投手の中でも9番目に低い数字。初球ストライク率も「49%」で「あまりにもそれは悪い数字だと思うんで、そこはより高い数字を目指していきたいですね」という。

 この日は打者23人に対し、初球ストライクは18度。率にすれば「78.3%」にも上る。「(今日は)初球と最後の結果球を課題に置いてずっと投げていた。初球ストライク率は割と高かったんじゃないかな、と。まだデータを見ていないので、何とも言えませんけど、感覚的にもやっぱりあれだけ投げられると楽になってくるのは再認識しました」と振り返った。

 自信を持ってゾーン内に投げ込んでいけるのも、真っ直ぐの強さがあってこそ。だからこそ、東浜は「僕のピッチングの基準になってくる」という。はっきり見えている昨季との“明確な違い”。今年の東浜巨はやってくれる。そんな予感をプンプンと感じさせてくれる86球だった。

(鷹フル編集部)