甲斐拓也が独占激白「僕はまだまだできる」 “捕手併用論”に明かす正直な思い

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

「野球選手だったら143試合全部出たいと思うもの」

 並々ならぬ決意でいる。4年ぶりのリーグ優勝に向けてカギを握る存在。扇の要となる甲斐拓也捕手が「鷹フル」の単独インタビューに心中を激白した。「もう一度、イチからっていう思いでいます。やらないといけないと思っています」。3年連続でリーグ優勝を逃している現実。正捕手としての危機意識が体を突き動かしている。

 昨季は143試合のうち139試合に出場。130試合でスタメンマスクを被った。打率は.202だったものの、2年ぶりの2桁となる10本塁打をマーク。チームは3年間、優勝から遠ざかっており「3年前に工藤監督を胴上げできなかったですし、この2年間はいろいろあったので、もう一度、新たに今年はイチからやっていきたいと思っています」。今年はその悔しさを晴らす年にする。

 野球日本代表「侍ジャパン」の一員としてWBC優勝にも貢献し、押しも押されもせぬ球界を代表する捕手となっている甲斐。それでも、胸には危機意識が募る。チームが優勝を逃している現実を、勝敗の責任を負う捕手として受け止める。「アピールしなきゃいけないんで」。ホークスに不可欠な存在ではあるものの、そこに胡座をかくつもりもない。

「ポジションは1個しかないですから、そこは競っていかないといけない。僕はまだまだできると思ってやっていますし、野球人生はこれからだなと思いながらやっています」。2月1日から始まった春季キャンプでは更なるレベルアップを目指して練習に取り組む。今年のキャンプは14時頃には全体練習が終わり、その後は個人の自由練習の時間に充てられた。打撃に、守備にと、精力的に練習に励む甲斐の姿が印象的だった。

 確かな手応えも感じている。打撃フォームも変え、近藤健介外野手にも助言をもらうなど試行錯誤を繰り返す。「めっちゃいいです。ここ何年かで1番、体の状態はいいですね。自分の中でも感じはいいので、続けてやっていったら面白いなと思っています。今までのように、無理矢理変えているとかではないので、なおさら感じがいいんです」。

 周囲からは「捕手併用」を推す声もあがる。甲斐の負担軽減、そしてホークスの将来を担う捕手を育成するためにも、だ。キャンプでは海野隆司捕手がバッティングでアピール。谷川原健太捕手も今季から“捕手専任”となり、甲斐にプレッシャーをかける。ただ、1人の選手として「野球選手だったら143試合全部出たいと思うものじゃないですか。別に休みたいとも思わないし、多く試合に出て、多く活躍したいっていうのは間違いなくあります」というのが、正直な思いだ。

「僕自身はキャッチャーがしっかりしないといけないという風に思っているので。チームが勝っていくため、チームを勝たせないといけないという役割が捕手にはあると思っています。難しい、そんな簡単なポジションではないって思っていますし、ただ、強いチームの柱になりたいという思いはもちろんあります。これからもそう思ってやっていくし、キャッチャーっていうのはそういうポジションだと思っています」

 捕手として課される使命は4年ぶりのリーグ優勝、日本一しかない。若手たちとの競争に負けてはいられない。ホークスの扇の要として、チームを勝たせることしか、甲斐の頭の中にはない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)