甲斐野央、人的補償制度に本音「クビじゃない」 突然の移籍も「ドラフトと同じ」

静岡市内で自主トレを行った甲斐野央【写真:竹村岳】
静岡市内で自主トレを行った甲斐野央【写真:竹村岳】

一瞬で決まった新天地「ぶっちゃけた話、クビではないですから」

 西武への移籍が決まった甲斐野央投手が12日、静岡市内で自主トレを行なった。西武から国内FA権を行使してソフトバンクに移籍した山川穂高内野手の人的補償で、一瞬で新天地が決まった。Full-Countの単独インタビューでは、人的補償に対しての本音も明かした。甲斐野らしい前向きな思いだった。

「ぶっちゃけた話、クビではないですから。野球ができなくなるわけではなかったので。もちろん今年ホークスで、勝ちパターンを目指していましたし、オスナの(守護神の)座を狙う気持ちでした。人的にはなりましたけど、西武さんが『欲しい』と思って僕を選んでくれたのは間違いない。ドラフトの時と同じような気持ちです」

 戦力外通告を受け、他球団が獲得するというプロセスではない。ソフトバンクが考えた28人のプロテクトリストからは漏れてしまったが、その中で西武が甲斐野の能力を評価したことは確かだ。三笠杉彦取締役GMをはじめ、球団の編成担当者とのZoomで移籍を知らされると「切り替わったというか、もう今年から西武さんで野球をするんだという気持ちになりました」と、すぐに腹は決まった。

 1月11日まで、甲斐野はソフトバンクに在籍していた。山川の獲得という一報は、ソフトバンクの一員として「それくらい球団は必要としている選手というのは間違いない、大きな戦力になると思っていました」と受け止めていた。面識はないというが、通算では13打数6安打と苦手としている相手。ユニホームが入れ替わる形で、これからも敵として戦うことになる。

 山川の獲得がソフトバンクから発表されたのが、昨年12月19日。そこから決着には23日を要した。「誰になるんだろうと思いながら、僕もあり得るなって感じでした」。なかなか気持ちを落ち着かせることができなかったが、新天地が決まったのなら、あとはプレーで表現していくだけだ。

 5年間をソフトバンクで過ごした。チームメートには甲斐野から1人ずつ電話で報告したそうで「それこそ今電話している人が、真剣勝負の相手になると思ったら恐ろしかったですし、逆にいうと楽しみですね」と武者震いしていた。対戦したい打者を問われても「選手というよりも、ホークスと対戦できることが楽しみです」と話す。結果で応えることが、最大の恩返しなる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)