名前は難読、特徴は“若い嘉弥真” 現役ドラフトで加入の長谷川威展はどんな投手?

入団会見に臨んだソフトバンク・長谷川威展【写真:藤浦一都】
入団会見に臨んだソフトバンク・長谷川威展【写真:藤浦一都】

主な球種、投手としてのタイプは嘉弥真新也に似ている

 8日の現役ドラフトで日本ハムからソフトバンクへの移籍が決まった長谷川威展投手が11日、本拠地PayPayドームで入団会見を行った。プロ2年目の24歳は「複雑な感情だったんですけども、今はホークスで活躍したいっていう気持ちが1番強いです」と意気込みを語った。背番号は「59」に決まった。

 2021年のドラフト6位で金沢学院大から入団し、ルーキーイヤーの2022年に開幕1軍入り。この日会見を行ったPayPayドームでプロデビューを飾っている。1年目は2試合の登板で、今季は9試合。防御率1.08とまずまずの成績を残し、イースタン・リーグでは中継ぎながら8勝をマークし、最多勝に輝いた。

 今季もソフトバンク戦では2試合に登板しているが、一体どんな投手なのだろうか。本人のコメントや投球データも踏まえつつ、その秘めるポテンシャルを紐解いてみたい。

 長谷川は左スリークォーターから最速147キロの真っ直ぐを投げ込む変則左腕。「やっぱり左バッターをしっかり抑えていけるようにしたい。パ・リーグは左の強打者が多いので、そこをしっかりと抑えられるように、僕が6回、7回でビシっと抑えれば、間違いなく勝利に貢献できると思う」。担うべきポジションは左の中継ぎとなるだろう。

 球種はストレートにスライダー、ツーシーム、チェンジアップを操る。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照すると、今季は1軍でもストレートとスライダーで全投球の90%を超える。まれにツーシームとチェンジアップをまぜる程度で、ほぼ2球種で勝負している投手だ。

 2軍では8勝をマークし、イニング数を上回る奪三振数も記録している(42イニングで43奪三振)。とはいえ、決して空振りを多く奪うタイプではなく、スイングに占める空振りの割合を示す「Whiff%」は1軍で16.0%、2軍でも26.3%。NPBのトップクラスは30%~40%で、長谷川は“打たせて取る”タイプだろう。球種や「Whiff%」を見ても、今季までプレーした嘉弥真新也投手に似たタイプだ。

 珍しい名前の「威展」は「たけひろ」と読む。由来は「要約すると強く生きていけって感じです。僕の下の名前の漢字はすごい読みづらいので『タケヒロ』っていう名前をファンの方々に覚えていただきたいですね」。今季までDeNAでプレーしたエドウィン・エスコバー投手になぞらえて「タケコバー」の愛称も持つ。貴重な左の中継ぎとして、自らの地位を確立できるか。

(鷹フル編集部)