「どれだけ守備でミスしてもいい」 吉田賢吾が救われた小久保監督からの言葉

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・吉田賢吾【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・吉田賢吾【写真:藤浦一都】

契約更改交渉を行い、現状維持の年俸800万円でサイン

 ソフトバンクの吉田賢吾捕手が28日、本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸800万円(金額は推定)で来季の契約にサインした。初めての契約交渉を終えた吉田は「打撃の方をすごく評価して、期待していると言っていただいたので、打撃だけにならないように、他も伸ばしつつ来年はアピールしたいと思います」と、2年目のシーズンに視線を向けた。

 新人合同自主トレ時に判明した右肘の怪我でリハビリ組でスタートしたルーキーイヤー。忸怩たる思いを抱えながらのリハビリ生活だった。「同期の選手がプレーしているのを羨ましい、早く自分もやりたいという気持ちで、葛藤した時間もあった」。悶々とする中でトレーナーらからの「どう始まったかより、どう終わったかを大切に」という言葉を励みにリハビリを続けた。

 出遅れこそしたものの、4軍、3軍、2軍と段階を経ていくと、非凡な打力を評価されて、シーズン最終盤の9月30日には1軍初昇格。初安打こそならなかったが、10月1日の日本ハム戦でデビューを果たして打席にも立つことができ「結果的に終わってみると、最終的に1軍の舞台に立つことができたので、終わり方は良かったんじゃないかなと思います」と頷いていた。

 桐蔭横浜大時代も強打の捕手として名を馳せた吉田。ただ、怪我の影響もあってスローイングに課題を抱えていた。2軍では打撃を生かすため、捕手ではなく、一塁手での出場がほとんど。そこに対して思い悩むこともあったが、そんな吉田の心を救ったのが小久保裕紀監督の言葉だったという。

「スローイングの方に課題があって、シーズン終盤はファーストで試合に出させてもらっていた。その時に小久保さんから『俺もスローイングで悩んだ時期が1年目にあった』『俺もそうだったけど、お前もバッティングがあるんだから、どれだけ守備でミスしてもいいからバットで取り返せ』って声をかけていただいた」

 守備に対して不安を抱えていた中で自分がやるべきことが見えた気がした。その小久保監督は2軍から1軍へ。「ずっと2軍で見てくださった小久保さんが1軍監督になるということで、今までずっと2軍でやっていた選手にもチャンスがあるんじゃないかな、と思っている」。来季は指揮官へ恩返ししたい気持ちは強い。

 打力を生かすための“野手転向”も可能性としてあるが、あくまでも捕手で勝負する。「チャンスがあるならどこでもっていう気持ちもあるんですけど、まずはキャッチャーでやっていく。取っていただいたスカウトだったり、高校、大学でキャッチャーを教えてくださった監督、コーチのことを考えると、すぐに他をやりますとは言えない。まだ来シーズンが2年目なので」。課題である守備面を磨いて、正捕手の甲斐拓也捕手らに挑戦状を叩きつけにいく。

「ポジションにつかないと試合には出られないと思う。打撃を生かすためには、守備力の強化っていうところが一番重要だと思う。打撃が良いから打撃だけをやる、では試合に出られないと思う」。小久保監督も絶賛していた打撃のポテンシャル。指揮官のためにも、守備に磨きをかけるオフにする。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)