コーチへの唯一の指示は「思いつきで指導しない」 図る意思統一…小久保監督コメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀新監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀新監督【写真:竹村岳】

「チームに貢献するには、居場所を見つけない限りは貢献できない」

 ソフトバンクは2日、宮崎県の生目の杜運動公園で秋季キャンプ第1クール初日を迎えた。小久保裕紀新監督にとっても、新しい体制での船出。野手は宮崎、投手は筑後という“縦割りキャンプ”も、球団として初の試みとなる。練習後、取材に応じた。「球界でもトップクラス」という才能を持った若鷹とは? 一問一答は以下の通り。

(テレビインタビュー)
――1軍監督として初日を終えた。どんな気持ちで今日を迎えた。
「あんまり、どういう気持ちっていうのはないんですけど……。練習自体がね、初めての試みというか。個に焦点を当てるのはどの球団もやっていることでしょうけど、いきなり3か所を使って、守備も入れたら5か所に分かれてヨーイドンなので。最初どこで見ようかなって思って。一応グルグルはしましたけど。午前中の練習に関しては、しっかりと個に焦点を当てた練習ができたんじゃないかなと思います」

――縦割りキャンプの狙いとは。
「僕の狙いはあまりなくて、球団が決めたので……。それに沿って。でも、僕もそれはいい考えだと思って、秋は個に焦点を当てるのは当たり前で。僕自身が、チームプレーが必要ないということで、このキャンプが始まったので。野手が全員いる中で、コーチ陣も野手のコーチは全員いるので。報告だけではなく、自分の目で見てその選手を評価できたりとかっていう利点はあります。そういう意味では秋にしかできないという点では、いい考えだと思います」

――選手の動き、表情はいかがでしたか。
「昨日も選手には話したんですけど、チームに貢献するには自分の立ち位置というか、居場所を見つけない限りはチームに貢献できない。精一杯、自分のスキルを上げるためのキャンプにしてほしい。プラス、12回(秋季キャンプ中)の練習くらいではすぐには上手くならないので。11月、12月、1月と、2月のキャンプまでに自分が何をするべきか、しっかりと課題を見つけられるように。そういう思いでキャンプに入ってきていると思います」

――生海選手、笹川吉康選手、渡邉陸選手を重点的に見ていた印象でした。
「彼らは2年間ずっと見ていたのであまり見なくてよかったんですけど。見たい選手がどこにいるのか、今日把握していなかったので(苦笑)。明日以降ちょっと、せっかくなので全員は見たいなと。ここ(メイングラウンド)で待っていれば誰か来るかもしれないですけど、今日はたまたまそういう日でした」

――笹川選手の動きはどうでしたか。
「笹川はやっぱり、1軍のバッティング投手を打てる機会っていうのはなくて。2軍って大体、バッティング投手がいなくて、僕らコーチが投げたり、裏方さんが投げたりする。日本で一番と言われている浜涯打撃投手の球をあんなに打ち損じるかって思って見ていましたけど。真っ直ぐとわかっていながら、あれだけ打ち損じするんやなって思いました」

――改善点は本人にも伝えている。
「王会長にも言われていましたけど、練習とわかっているボールをあれだけファウルにしていたら、試合では無理なので。その精度を高めるしかない。彼自身の課題は明確。スイングスピードは、球界でもトップクラスです。ただ、その確率が低いということで、確率を上げましょうということは彼も百も承知でやっているんですけど。なかなか上手くいっていないというところです」

――監督の方から、どこを中心に練習してほしいと、声をかけたりしているのか。
「いや、特にはないです。結局、課題のすり合わせは終わっているので。コーチに逆に指示をしたのが、思いつきで指導をしないっていうことですね。だから、本人とコーチと、R&D(動作解析)ですり合わせた課題があって、練習方法もある程度決まっているのに、担当コーチが全然違うことを言ったら、何のために作ったのかって話になる。できれば、何も言わない方がスムーズに進むということです」

――「iPitch(最新鋭ピッチングマシン)」を用いていた。
「はんぴ(ドーム)の方で3台、常に用意している。実戦がないと言われながら、実戦の投手よりも性能はいい。十分、実戦として使えるマシンだと思う。実戦でしかできない生きたボールの見極めであったり、分かりきっている150キロの真っ直ぐを7割、8割打ち返せるようになるっていうのが課題の選手が多いので。それに特化した課題がある選手にはどんどん使ってほしいです」

――投手は筑後でキャンプをしている。視察の予定は。
「明後日1回練習を見てから、福岡に戻って。第2クールは投手の方に行こうと思っています」

――そこはどんな時間にしたい。
「あんまり選手というよりはコーチですね。新しい、復帰のコーチとコミュニケーションを取ること。フロントとのミーティングも入っているので、そっちがメインです」

――どんなキャンプにしたい。
「主力が来ていないので、あまり勝ち負けっていうようなキャンプではないんですけど。主力を脅かす選手が1人でも2人でもここから出てきてくれたら。春のキャンプ、こいつだけは連れていく、1軍でやろうよという選手が出てきてくれることを祈っています」

(個別質問)
――打撃投手も務めていた。2軍でもやっていたとは思うが、そこについては。
「やりたくなかったんですけどね。自由練習の時間に投げ手が足りなくなった。1軍監督になったので……っていうよりは、人が足りないからやろうかなって感じです」

――緒方理貢選手についてはどう見ていますか。
「もともと足はチームの中でも能力が高い選手とわかっていた。そこに思い切りのいいバッティングが、昨年も含めて(出てきた)。今年は2軍であまり使ってやれなかったんですけど、その悔しい思いも持ってフェニックス・リーグでもやっていたと思います。非常にバッティングの方で目立っていましたし。守備の方でも、外野手としてのスローイングが昨年よりも格段に良くなった。フェニックスでは一番目立っていた野手だと思います」

――この秋季キャンプで緒方選手に期待したいのは。
「バッティングをより自分の中で確信に変えて。『これで行けるんだ』という状態に変えて、来年2月のキャンプに入れるような、そういう期間にしてもらいたいですね」

――ドリルのようなものを1人1人用意している。
「1人1人の今年の分析をした結果、自分にとって必要な改善点をコーチと動作解析の部分と、本人とですり合わせをして。そのためには『iPitch』のどの部分を使うのか、あとはドライブラインのドリルの中でどれが当てはまるのかっていうのをすり合わせながら。彼にはこういうドリル、っていうのはある程度決まっています」

「僕も全部は覚えていないですよ。全部は覚えていないですけど、明日からは選手に自分の課題についてのノートは持たせるので。その場にいるコーチの方と。コーチも頭には入っているんですけど、30人いるので。全部は覚えきれないので。最終的にそれをチェックした上で、一緒に取り組もうってことはします。キャンプに入る前の準備としてそれは終わっているんですね。いろんな人がいろんなことを言うと、そのドリルとか分析自体が無意味になるので。寝ずに頑張ってくれた人のためにも、有効利用しようという考えですね」

(囲み取材)
――バッティング練習は、1ケージにつきどれくらいの時間、打つんですか。
「吉康と生海は2人で1時間打ってた。向こうで『iPitch』も1時間打ってたから。2時間打っていたんじゃないですか。仲田は24時間、守備。今日2時間終わったので、あと22時間です」

――選手というよりコーチとコミュニケーションを取っている印象だった。
「そらそうです。僕の仕事はコーチを使うことですから。(野村)勇に関してはちょこっと話しましたけど、でも話したこともちゃんと村上(隆行)コーチには伝えていますから」

――ファームでやってきた延長。
「そうです。組織運営は、そういうものです」

――改めて、初日が終わった。
「途中、答え合わせというか、今日前半やった中で、コーチ全員が集まって話しましたけど。量はこなせるって感じで。担当コーチもある程度は決めているんですけど、今度はドライブラインの計測も来る。それを中心にして動くと、ずっと担当しているコーチがその選手を見られないっていう状況も起こりうるので。そこは臨機応変に動いた方がいいですかね、みたいな」

「アイビーは村上(打撃コーチ)さん、はんぴは明石(健志打撃コーチ)ってするよりは、今決めている担当のコーチが臨機応変に動ける時に動くっていう方がいいですかねっていうので落ち着いた。今日のやり方と一緒で明日も動きます」

――笹川選手は2軍監督時代は「振りすぎってくらい振りすぎ」とも言われていましたが、それだけのポテンシャルは持っている。
「振りすぎですけど、スイングスピードは球界でもトップクラスです。アマチュアを見ている担当の人たちも今日見ていましたけど。アマチュアでも、こんなスイングスピードが出る選手はまずいないって。本当、コンタクト率を上げないと。浜涯さんのボールを打ち損じていたらね」

――浜涯打撃投手のすごさは監督だからこそよく知っている。
「あの球、ファウルにしないでしょう。まだその状況です。生海が今日はね、カーブのマシンですけど、ちょっと長距離砲っぽいフリーバッティングをしていたので。生海に関してはもう、フリーバッティングの質を上げるようにと今シーズンの終わりから言い続けているので。カーブマシンのように、打撃投手も打ってほしかったんですけど。なかなかそうはならないですね」

(竹村岳 / Gaku Takemura)