今年のドラフトは「やっぱり投手」 会議終了後に永井本部長が語った指名戦略

ソフトバンクから1位指名を受けチームメートに祝福される大阪桐蔭・前田悠伍【写真:山口真司】
ソフトバンクから1位指名を受けチームメートに祝福される大阪桐蔭・前田悠伍【写真:山口真司】

1位は大阪桐蔭の前田悠伍投手「スカウトの評価の中ではすごく競っていた」

 ソフトバンクは26日、都内のホテルで開催された「2023年プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で支配下7選手、育成8選手を指名した。1位では、3球団が競合した國學院大の武内夏暉投手を抽選で外したものの、2度目の入札で3球団が競合した大阪桐蔭・前田悠伍投手を引き当てた。2位以下も即戦力投手を中心に指名。永井智浩編成育成本部長兼スカウト部長も「90点」という狙い通りのドラフトとなった。会議終了後の永井本部長のコメント全文は以下の通り。

――ドラフトを総括されていかがでしたか。
「よかったと思います」

――支配下は即戦力を中心に。
「そうですね」

――前田投手への評価は。
「武内くんに入札したんですけど、スカウトの評価の中ではすごく前田くんと競っていまして、来年っていうところを考えたときに、先に武内くんということになったんですけど、同等の評価がありました。3球団重なったので、獲れてよかったです」

――その後を見ても、今年の方針が見えた。
「やっぱりピッチャーというところは、王会長からもこのドラフトで『強化しましょう』と。スカウトの評価と照らし合わせながら、事前にしっかりシミュレーションできた結果、我々にとっては思い描いたドラフトができたように思います」

――2位の岩井俊介投手(名城大)はストレート投球時のボールは2780回転(1分間)と言われている。
「アメリカで行われた侍ジャパンの試合(日米大学野球選手権)でもしっかりと視察ができたので、能力の高さを評価しましたね。いい選手を取れました」

――投手の先発、中継ぎの適性は。
「基本的には先発ができるピッチャーを獲得したと思っているので、あとはチーム内でリリーフの適性もあるピッチャーもいるので、そこは臨機応変に。来年っていう意味でいうと、リリーフからスタートするピッチャーもいるんじゃないかなと思うんですけど、ほぼほぼ先発ができるピッチャーを獲得できたんじゃないかなと思ってます」

――前田投手は高校生。近い未来に出てくるという評価。
「そうですね。これからしっかり計画は立てたいですけど、スカウトの中では武田翔太のように、1年目から1軍で出られる素材だと思っています。ただ、大切な素材ですので、しっかり体作りをしてから登板と、みたいなところは計画を立ててやっていけたらなと思います」

――3位は野手の廣瀬隆太内野手。
「あの順位ですごくいい巡り合わせがあったので、もしかするとそこまで残ってはいないかなとは思っていたんですけど、今年もなかなかホームランの数っていうのは思うようにいかなかった部分もあるので、今年の中では一番、飛距離が出せるバッターということで評価していたので良かったですね」

――ロキテクノ富山の澤柳亮太郎投手は。
「うちのスカウトはすごく評価して、高い評価でした。ドラフトの前に調査球団がそんなになかったので、その割にはうちの評価がすごく高い選手でした」

――元ソフトバンクの細川亨さんもコーチにいる。
「ウチのスカウトは基本的に見に行って、すごくいいピッチャーというところで評価をしていて、最終的にこのドラフトの前にいろいろ調べた結果、そんなに調査球団がなかったので、縁があるかなと思って待っていました」

――育成1位はルートインBCリーグ・福島の大泉周也外野手。
「打撃はもう本当楽しみなものがあるっていうのは聞いています」

――育成3位には地元の九州国際大付・佐倉侠史朗内野手を。
「面談もして、担当スカウトからはすごくいい評価を、面談してからさらに評価が上がったような形で、ウチに入ってもすごく伸びる素材じゃないかなっていうところはありました」

――面談のどういったところを聞いて評価が高くなった。
「本人がどういうことを意識してプレーしているとか、今後どういうふうなビジョンを描いているとか、みたいなところの受け答えとかも含めて、すごくしっかりしていて、いいんじゃないかと」

――ホークスの元投手・星野順治さんの息子・恒太朗(駒大)を育成で指名。
「縁があればと思ってね。当然、星野さんの息子なので、我々もシミュレーション通りに、評価した通りに取っていくので、縁があるか無いかのところだったんですけど、縁があってよかったです。やっぱり持っているんだと思います、お父さん譲りで」

――今年の1位は7回、抽選が行われた。
「以前から話しているように、ホークスとしては1位を決めるタイミングっていうのをだいぶ引っ張ったと思うんです。いつもであればもう少し早いタイミングで、例えば公表するであるとか、しないにしても内部では決めるみたいなところが、本当に実力が拮抗している選手が多かったんで、そこまで引っ張って、最終的にどうしようかみたいなところまでいった。それが今年の1つの特徴で、現実として、こういう抽選も多くなったというのは、そういうところにあるんじゃないかなと思います」

――昨年までは高卒中心。今年はガラッと変わった。
「チーム事情もありつつ、ドラフトの市場というのもあるかな、と思います」

――今年は大卒指名が厚かった。
「そうですね。やっぱりいい選手がいたっていうところですね。この後、来年のドラフト候補生がどれだけ一年で延びてくるか、みたいなところは楽しみなんですけど、やっぱりスカウトの中でも少し来年の大学、社会人みたいなところの市場は、今年ほどはいないんじゃなかろうか、というところもあった。その辺も含めて、せっかくいい素材がいる年に、大学生にいっておこうか、みたいなところはありました」

――7位の藤田悠太郎捕手(福岡大大濠)は。
「元々、高校生の中で一番、評価していたキャッチャーで、一番上にはいたんですけど、これもまたちゃんと事前にスカウトに調査してもらって、調査球団がそれほど多くなかったので、ちょっとヒヤヒヤしましたけど、最後のところで獲得できたっていうのは大きいですね」

――85点くらいですか?
「90点でもいいかな。ほぼそこ(武内投手と前田投手)の評価はそんなに変わらなかったので、ほぼほぼうまくいったんじゃないかなと思います」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)