若鷹に聞く「小久保監督ってどんな人?」 守備固めでも緊張…言葉に重み持つ「野球人の鑑」

ソフトバンク・尾形崇斗(左)と川村友斗【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・尾形崇斗(左)と川村友斗【写真:藤浦一都】

2年間務めた2軍監督…“チルドレン”が語る人柄「こういう人間になりたい」

 ソフトバンクは21日、来季の監督に小久保裕紀2軍監督が就任することを発表しました。2年間務めた2軍監督からの昇格。そこで鷹フルは「小久保監督ってどんな人?」と取材。今季ウエスタン・リーグで16セーブを挙げた尾形崇斗投手と、巨人とのファーム選手権でMVPに輝いた川村友斗外野手の2人に聞きました。尾形投手は尊敬の眼差しで思いを語り、川村選手は取り組みの“甘さ”を気づかさせられた厳しい言葉を明かしました。

・尾形崇斗投手
――小久保監督はどんな人ですか?
「いいものはいい、悪いものは悪いってハッキリ言ってくださる。今、自分がどうだったのかとか、試合が終わってミーティングとかで何がよかったのか。自分が思ったことを小久保監督がハッキリと言ってくださるので、客観的に自分を振り返ることが(できる)。そういうハッキリ言ってくれることはすごくいいかなと思います」

「人間的にも尊敬できるというか。いち社会人というか、そういうものとして『こういう人間になりたい』と思わせてくれる存在です。常に、自分もどんどんチャレンジして、レベルアップをしていきたいなって思わせてくれる存在です」

――監督の、そんな人間性がチームの士気にもつながっている。
「みんな一番、小久保監督のことを信頼しているので。そういう面では、チームの雰囲気とか一体感とか、向かっていくところも小久保監督の存在のおかげかなと思います」

――小久保監督から学んだのは、どんなこと。
「当たり前のことをどれだけしっかりとできるかというところ。ペットボトルの分別もそうですし、スリッパを並べるとかもそうですし。そういうところができた上での野球のプレーというところで、1つ1つのプレーも丁寧になっていくという実感があります」

――チームメートの変化も感じたのでは。
「チームが優勝したというのも1つの結果。そういう面でもプレーのつながりっていうのは出てきたと思います。見ていても、打線も去年、一昨年よりもいいところで打つし、投手はいいところで抑える、とか、日頃当たり前のことをしっかりやっていると、『ここだな』というところでしっかりとしたプレーができる。それが結果としても出てきたんじゃないかなと、自分でも思っていて」

「ピンチでも『ここだな』って時にアウトを取って帰って来られるピッチャーに、ちょっとずつなれているかなと思うので。それは日頃の当たり前のことをしっかりとやるのがつながっていると思います」

――小久保監督を一言で例えると。
「一言で例えたら……。『野球人の鑑』です」

・川村友斗外野手
――小久保監督はどんな人ですか?
「僕にとっては、プロ野球選手としてのあり方を教えてくれた(存在だ)と思います。直接はあんまりは話したことないんですけど、ミーティングとかで言われたのを聞いて、そう思います」

――レジェンドと呼ばれたような人から指導を受けている。
「そうですね。2000本も打って、400本もホームランを打った方なので。5本に1本、ホームランを打っている。全部、一言一句を吸収できるようにしたいと思っています」

――あり方を教わったというのは、どんな時にそれを感じる。
「1年目の時は、ちょっと全部が野球中心っていう生活ができていなかった。自分でも『このくらいかな』っていう甘えがあったんです。その時に、『もっとやらないと。お前は大卒なんやから』っていうふうに言われて。そこから(自分でも)『まずいな』って思うようになりました」

――3月にオープン戦も経験した。小久保監督からの教えもあった。
「やっぱり僕、1年目の春のキャンプから一緒にやらせていただいて。春キャンプ、秋キャンプ、それで2年目の春のキャンプも一緒にやらせてもらって。その中で、まだまだ足りていないことばかりだったんですけど、練習していくうちに『これかな』っていうのがつかめてきた。その結果が、まだ2年目のシーズンは満足のいく数字ではないですけど、少しは1年目よりは数字は残せたので。そういう意味では感謝しています」

――監督から直接指導をもらうことは少ないかもしれないが、ミーティングでの言葉などが印象に残っている。
「僕は試合に出ていなかったんですけど、森(唯斗投手)さんが春先に投げていた試合で、緒方(理貢内野手)さんと生海(外野手)が(打球を)落としたんです。オリックス戦(4月20日、タマスタ筑後)で、その後に山足さんにホームランを打たれて。その時のミーティングで、森さんくらいの人もしっかりとやっているのに、僕たちがちゃんとやらなくて、足を引っ張ったらいけないということを言われて、責任という言葉が重く、自分の中に残っています」

――試合への準備という意味では1軍も2軍も同じ。
「そうですね。あのエラーで、森さんの成績も変わってしまう。そういう意味で、同じチームなんですけど、助け合いというか。『責任取れんのか』っていう話をミーティングでされていて、僕は本当にそれで『まずいな』って思いました。自分は出ていなかったんですけど、出ていてそのプレーをしたと思うと、ゾッとするので」

――考え方も変わった瞬間だった。
「やっぱり、2軍といえど、2軍のチームの代表としてスタメンで出ているので。そういう面では、責任は強く持たないといけないと思いましたし、優勝がかかった試合でもスタメンで使っていただいたこともあった。責任っていうのはすごく感じました」

――価値観が変われば、1つ1つのプレーも変わったのでは。
「9回の守備固めとかで出る時もあったんですけど、こんな緊張したかなっていうくらい、すごく緊張したこともありました。そういう意味では自分の中で成長、いい経験ができているなって思います」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)