【連載・甲斐拓也】6年続く札幌での“ギータ会” 同期だからこそ知る柳田悠岐の人柄と魅力

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

若かりし頃と変わらぬ柳田の人柄「ギータさんは本当に昔から変わらない」

 鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、甲斐拓也選手の「9月後編」です。今回のテーマはキャプテンの柳田悠岐外野手について。甲斐選手と柳田選手は、札幌遠征の際には必ずと言っていいほど「寿司会」を開催。同期入団でチームを支える大黒柱となったギータの人柄と魅力について語ってくれました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 甲斐と柳田はどちらも2010年のドラフトで入団。柳田は広島経済大からドラフト2位で、甲斐は大分の楊志館高から育成ドラフト6巡目で指名された。大卒ルーキーと高卒育成ルーキー。同期とはいえ、甲斐はやはり最初は壁を感じていた。

「入団した時、僕らは育成だったんで、ギータさんとか支配下の人たちとの壁というものが当時はすごいあったような気がします。レベルの違いというか、住む世界がまず違うなというのは感じました。ギータさんはすぐ1軍のキャンプでやっていたんで、すごいなと思ってましたね」

 プロ入り当初は会話の機会もほとんどなかった。育成システムが本格的に稼働した初年度。支配下と育成には今以上に“格差”があり、甲斐は千賀滉大投手や牧原大成内野手と共に必死に1日1日を過ごしていた。ただ、柳田はもともと気さくな人柄。「いつからですかね……。いつの間にか普通にしゃべるようになりました」。キッカケは思い出せない。それくらい自然に言葉を交わすようになった。

 甲斐は3年目を終えた2013年オフに支配下登録を勝ち取り、2016年には1軍で13試合、2017年には正捕手の座をつかんで103試合に出場した。柳田との「寿司会」が始まったのも、甲斐が1軍でプレーするようになったこの頃からだ。

「ギータさんがお寿司が好きで、僕も好きなんです。2017年くらいからかな? 『食べに行こうや』ってギータさんと(福田)秀平さんと行ったのが最初。それから必ずと言っていいほど誘ってくれます」

 柳田と現在ロッテに在籍している福田秀平外野手は、同い年で仲が良かった。札幌遠征中のある日、寿司好きという共通点から始まった柳田、福田、甲斐による「寿司会」は6年経った今でも続く。誘うのは決まって先輩の柳田から。「ギータさんが必ず誘ってくれます。『⚪日行こうや』って」。足を運ぶ寿司店はいつも同じ。会計も先輩である柳田が必ず支払ってくれる。

 チームでも中心を担うようになった2人。食事の席での会話は「いろいろですよ。野球の話することもあるし、もう本当にいろんな話をします。ただ単に食事を楽しむっていうのもあります」。話題は尽きない。好物の寿司に舌鼓を打ちつつ、リラックスした時間で関係を深めてきた。

「ギータさんは本当に昔から変わらない。そのまんま。毎日変わらないし、誰に対しても同じ。年上の人であろうが、年下であろうが、変わらないんです。ギータさんはギータさん。すごいなと思う部分ですし、尊敬しています。なかなかああいう風にはなれないです」

 2011年にプロ入りし、13年目を迎えた甲斐と柳田。2人の付き合いも13年になる。同期で4歳上の柳田を、甲斐は尊敬の眼差しで見つめる。大切な仲間であり、偉大な先輩。甲斐にとって柳田は特別な存在だ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)