大津亮介の涙は「演技です」!? 津森宥紀が語る“2人の弟”…呼び捨てにも表れる親密関係

ソフトバンク・津森宥紀(左)と大津亮介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・津森宥紀(左)と大津亮介【写真:藤浦一都】

大津は「次男」、田浦は「三男」…津森宥紀にとって後輩は「慕ってくれるのはうれしい」

 親しみと礼儀を持って、先輩と後輩として接している。ソフトバンクの津森宥紀投手は、プロ4年目のシーズンを送っている。ここまで47試合に登板して3勝4敗、防御率3.60。8月21日に登録抹消となったものの、9月1日に再登録。すぐさま1軍に必要とされ、ブルペンに戻ってきた。ともにリリーフとしてブルペンを支える大津亮介投手、そして田浦文丸投手の存在について、津森の目線から語ってもらった。「こいつナメてんな」と言う後輩とは……?

 練習中でも、大津といるシーンをよく目にする。津森は大津の人柄について、こう表現する。「後輩ですけど、そんな壁もなく。なんて言ったらいいんですかね……。大津は次男、田浦(文丸投手)が三男って感じ。大津はふざける時もありますけど、しっかりもしていて。気軽になんでも話せる後輩」だそうだ。関係が深まったのは春季キャンプ。新人の大津と共にメニューを消化するうちに、距離が近づいていった。

「年齢が近いのもあって、まだ自分も(年齢は)下の方ですけど。ある程度のこともわかってきたので、大津に教える感じで。大津も、なんか知らんけどついてきたっていうのもあって(笑)。可愛がっていたんですけど、それで今(の関係)って感じです」

 キャンプ中には食事も、ゴルフも一緒にしたという。大津の性格は「素直で裏表もなく、負けず嫌い」。6月10日の巨人戦(PayPayドーム)では、大津は1回2失点を喫してベンチで涙を流した。津森自身も強い気持ちで向かっていくのがスタイル。「あいつは“ぶってる”んですよ! 演技です!」と笑ったが、「素直で可愛いですよ。裏表もないですし。(マウンド上の)気持ちは強いです」とリスペクトもしている。

「気が強いなっていうのは、それは思いました。ずっとクール系なんかなって思っていたんですけど、意外と話が合うなって思って。向こうがどう思っているのかは知らないですけどね。あいつも“勝負師”というか。もしかしたら自分より負けず嫌いかもしれないですね」

 4年目を迎えた今季。これまでは津森が先輩たちの背中についていく側だったが、今は自分が後輩たちの面倒を見る側となり、シーズンを送っている。「慕ってくれている分にはうれしいですけど、ほぼ友達の感覚ですよ。田浦にしろ、大津にしろ、尾形(崇斗投手)にしろ」。先輩風を吹かすのではなく、後輩とも肩を組んで話すような間柄だと津森は言うのだから、その関係性も伝わってくる。

 7月25日に右手中指にできたマメの影響で、大津は登録抹消となった。「その前から相談もされていて。『とりあえず、無駄に投げるなよ』っていう話はしていました」。練習中からコンディションに気を配り、球数を管理するよう、津森なりにアドバイスも送っていた。大津も「痛くて投げられなかった」と言うほどのマメ。先輩の言葉に耳を傾けながら、状態が良化するように工夫していたようだ。

 大津が段階を踏み、実戦登板を果たした時には投球動画も送られてくるなど、1軍と2軍にいても、頼り頼られる関係は続いていた。8月中旬には休日が合い、食事へ。「『いつ上がれるんですか』って言われたんで、『お前が状態上がったらすぐに上がれるやろ』って。プラスに言っておきました」と、モチベーションを失わないように言葉もかけ、立派すぎるほどに先輩として“仕事”を果たしていた。

 津森は、後輩たちからどのように呼ばれているのか。「基本、みんな『津森さん』です」とは言うが、「たまに調子に乗って田浦が『津森』って言ってきます(笑)」と笑顔で明かす。2歳年下の“三男”は、状況に応じて呼び捨てにしてくるそう……。「大津は一番、言葉的には丁寧な感じですね。だから、一番いい感じです。田浦はたまに『こいつナメてんな』って思うんですけど(笑)」。リスペクトで成り立つ間柄にも注目して、ブルペンを支える“3兄弟”を応援してほしい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)